食の向こう側
★★★★☆
開高健が食をテーマに書いたエッセイを、いろいろなところから寄せ集めてきたもの。『食後の花束』『小説家のメニュー』などが使われているようだ。
テーマは3つ。戦時下の貧しい食生活、酒、珍味奇食である。いずれも開高健の本質をついた切り口であり、また文章も精選されており、素晴らしい。
開高健の「食」について、一冊で知りたいと思ったら、これ以上の本はないだろう。また、すれっからしのファンでも、それなりに楽しめる内容に仕上がっている。
しかし、個人的には、こうした切り張りでつくった本というのは、許せない気がする。