民話こそ大衆芸能、エンターテインメント
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この本は大正初年、東京朝日新聞の求めに応じ、全国から寄せられた民話、伝承を
柳田国男とともに雑誌「郷土研究」を刊行した高木敏雄博士が分類編集、
まとめたものである。大正二年に発行された。
巨人伝説、巨木伝説、怨霊伝説、竜宮伝説、地名縁起伝説、人狼伝説など、
さまざまある中で、私が最も惹かれたのは抜穴伝説である。
「相模の国丹沢山近く、愛川村の滝の奥にある江ノ島淵は、底知れぬ深さの淵である。
この淵は、江ノ島弁天の岩窟とつながっている」
これら、伝承は、おそらく娯楽のない昔、語り部たちが語るエンターテインメント、
大衆芸能のひとつとして伝わり洗練されていったのであろう。
ところで私も、地名縁起伝説をひとつ。羽州天童は、
天から二人(よこ二と人の字をたすと天)の童(わらべ)が、その地にある舞鶴山に降り立った
ことからついた名である。降臨伝説のひとつである。
ほかにも、確からしい説はあるが、上記の説はなぜでき、なぜ伝わったのだろう。ふしぎである。