神の手
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がん、という病名を告げられた患者の人生に、光を差し込んでくれる本。
インタビューを通して、著者の方がお医者さんの思いを汲み取り、さらに治療法についての説明も丁寧にしてくださっているので、著者とお医者さん、二人の病気のプロフェッショナルから「いっしょにがんばりましょう」と励まされているような気持ちになりました。
中でも心に響いたのは、ある医師の「あなたのことを支えてあげたい。いっしょに悩みましょう」という言葉。
結局、人間はひとりで生まれてきて、ひとり死んでいく。
とは言うものの、ひとりぼっちでは決して、生きてはいけない。
がんという病気に直面し、まだ死にたくない、助けてほしい、と祈るときに、その心を支えてくれるのはきっと、なによりもあたたかくて、大きくて、やさしく寄り添ってくれる手。
そんな神さまのような「手」と人間の「心」を持ったお医者さんが、この本の中には紹介されています。
ガイドとしても読み物としても素晴らしい一冊
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重たい病気や治療が長期にわたるような病気になることを考えたとき、病院の設備以上に重視したいのはやはり、どんな医師が自分の治療にあたってくれるのか、ということ。
25年余りにわたって最先端の医療現場と第一線で活躍する医師たちを取材し続けている筆者が日本全国から選りすぐったがん治療のエキスパートたちを網羅したこの本では、実際に「がん」という病気にかかってしまった際の基礎知識や治療の流れをわかりやすく図解しているほか、それぞれの医師が得意としている治療方法を、実例と共に紹介。
自分や自分の親と同じ年齢の患者の話などにドキっとしながらも、この先生にかかれば最終的に「治る」というハッピーエンドへ向かっていける可能性が高いのだ、という希望や安心感を持つことができる。
個人的には、ところどころに散りばめられている医師たちのプライベートなエピソードがとても良いと思った。
それぞれの医師の人柄が垣間見えるだけでなく、あぁ、この人たちも人間なんだなぁ!(当然のことだが・・・)という親近感を抱いてしまう。
もしも自分や自分の周りの人ががんになったら、私は迷わずこの本を勧めて、二人三脚で治療していけるお医者さんを一緒に見つけようと思う。