要は、取扱項目の「選択と集中」ができていないわけです。初学者に絶対不可欠な知識を提供するという視点で作らないと、「好きになる」シリーズの趣旨には沿わないような気がします。
確かに、病理の総論と各論、伝えないといけない知識が膨大にあるのは分かりますが、免疫学や解剖学のときのような、シンプルに世界を見せると言うのではなく、どこか教科書の知識を網羅しただけのような記述で、上記の二冊より敷居は高いかもしれません。病理学での基礎的な情報がこの値段でこれだけの量手に入ると考えれば、評価は高めでいいと思います。
ただ、ところどころに(なんだかむりやりとってつけたみたいに項目の最初に挿入されている)教官と学生の会話で、読者の笑いをとろうとして失敗していると思われる記述、イラストで喩えで説明しようとしてどこか女性蔑視にとられてもしょうがないものなどや、そして(値段に跳ね返らないような工夫の結果でしょうが)これでもかと全ページにとにかく文字や図表を詰め込んだ編集と、本全体のスタイルとして疑問符がつくところもいくつかありました。