Rodの声にはハートがこもっています.
この中では、かつてルイ・アームストロングが歌ったTr.4のWhat a Wonderful World が一番ポピュラーかもしれません.「樹々の緑、赤く咲くバラ、・・・赤ん坊が泣き、彼らが育つのを見つめ、私よりたくさんのことを学んでいく、なんと素晴らしき世界」と歌います.2005.01.10に60歳になったRodの歌を聴くと彼が本当に世界を素晴らしいと感じて生きてきたその気持ちが伝わってくるように聴こえます.
Rodはしわ枯れ声ですが,
彼の武器はしわ枯れ声であるにもかかわらず声にすばらしい響きがあることです.たとえば,Blue Moonで「Blue Moon」と歌いながらキーを上げている箇所(転調の所)を注意深く聴いてみてください.しわ枯れ成分があまり混ざっていない綺麗な響きが聴こえます.
Rodの歌唱センスは抜群です.
たとえば,Tr.8のIsn't it Romantic では「Isn't it Romantic」の歌い出しで始まるところが6つあります.それらを聴き比べてみてください.毎回,表情が違っているのがわかるでしょう.初めの「Romantic」はまるで恋人の耳元でささやくように柔らかく響かせています.それが回毎に表情が変化していきます.そうした力があるからこそ「古臭い」曲を50分以上聴きとおしても、ちっとも飽きがこないのでしょう.
Rodは口説き上手です.
現在も30歳近く年下の恋人がいるRodはきっと口説き上手でしょう.「Baby, It's Cold Outside」では,そんなテクを教えてくれます.「帰らなくちゃ」と言う恋人に対し「でも,外は寒いよ」とか「きみの瞳は今,星のようだ」というように,相手の話は聞かず思いやりの言葉と褒め言葉を心の限りに並べていくと・・・.
Rodはメロディアスです.
こうしたスタンダードを聴くとかつての音楽には素晴らしいメロディーがあったことを痛感します.そのメロディに乗せて伴奏の4ビートに素敵な呼吸を与えています.アルバムの最後「A Nightingele sang in Berkeley Square」はマンハッタン・トランスファーが美しいアカペラでヒットしたこともあるイギリスの名曲で,英語の言葉のリズムに寄り添うようなメロディーが印象的です.
Rodにも癖はあります.
Rodは声をさらに咽喉にかけしわ枯れ声をさらにざらつかせるテクを使いますが,「I(アイ)」という歌詞のところで使うことが多いですよ.