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Tokyo Year Zero (Tokyo Trilogy 1)

価格: ¥839
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Faber and Faber
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東京ゼロ年 ★★★☆☆
不思議な作品です。歴史的な事件を題材としたミステリーでありながら。ここに描かれる世界は異様なまでの緊迫感を持っています。さて今回の舞台は昭和20年の8月15日とその一年後の夏の10日間の東京です。筋は当時有名だった連続殺人事件をモデルとしているようです。しかしながらここには犯人探しのミステリーはありません。むしろミステリーは過去を背負って仮面をかぶりながら戦後の東京をさまようさまざまな人間像の交錯ということになるのでしょうか。軍歌(勝ってくるぞと勇ましく??)や戦後の流行歌(林檎の歌)の歌詞のリフレーンを英語で見るのはなかなか不可思議な感覚です。登場人物は価値が転回してしまった当時の日本で秩序維持の任務を負った警察とそしてやくざです。そして秩序を代表する警察自身が占領軍による絶え間ない公職追放という超権力の脅威の下にあるという奇妙な構図です。そして警察権力が不安定な下で、戦後の混乱の下で「第三国人」の非合法暴力に対抗せざるを得ないというこの構図自体は、「仁義なき戦い」などで描かれてもおり、必ずしも目新しいものではありません。ここには戦後教育で強調される「新しい出発」という明は描かれません。描かれる女性たちのリアルな姿も含めて、ここに登場するのは生の現実と偽装です。最後にはたしかに謎解きはなされますが、わかりにくいですね。ところでこの著者の作品はdamned unitedも含めていつも文字が異様に小さいのですが、これは著者の要望なのでしょうか?たしかに繰り返しとイタリックの多用はこの文字の小ささとは奇妙なフィットを示しています。