曲の完成度が素晴らしい
★★★★★
メロディーにアルペジオを加えた素人でもできそうなアレンジ本も多い中、これは秀逸です。岡崎氏のソロギター名曲集は3冊とも全て持っていていずれも素晴らしいですが、これは1冊目ということもあり、選曲に無理がなく、氏のアレンジセンスのいろいろなパターンが楽しめるベストなものです。ともすれば超絶技巧を見せようとするギタリストも多い中、そのテクニックを曲の表現力に集中させたようなストイックさを感じます。「誰でも弾ける、すぐ弾ける」ではなく「名曲集」としている所以です。「ここまで弾ければギターも楽しいよ、頑張ってごらん」と言って、カスタマーと距離を置く姿勢がいい。氏の真骨頂でもあるコードワークの妙がここでも楽しめます。「コードを変えるだけでこんなに曲が変わるのか」と驚きます。どうしても欲しくてやっと中古本を手に入れましたが、ギターファンのためにも是非再販して欲しい1冊です。
シャボン玉
★★★★☆
このシリーズの、といっても今のところ二冊だけですが、著者である岡崎倫典氏のスタンスがよく分かるのは表題の曲。誰もが知っている単純な曲でも、優れた音楽家にかかるとこんなにも素晴らしい楽曲になるのか、と。最初はごく簡単に、徐々に難しく、と、練習曲としてよく考えられていて、なおかつ素晴らしく美しいのには感動します。模範演奏を聴いていて涙が出てきましたね。その付属の岡崎氏による模範演奏のCDは、演奏も録音もとんでもなく素晴らしく、弾かない人でも、ギターが好きなら冊子の方を豪華なライナーノーツと思って買ってもなんら問題ない出来。ほんと、騙されたと思って聴いてほしい。万人向けという訳にはいかないので☆4にしますが、心情的には☆5にしたいくらい。フィンガースタイルを志すなら避けて通れないでしょう。推奨盤。