絵本のような写真集
★★★★★
ロバート・パークハリスンさんと言う写真家の作品集。
現代文明を表すであろうスーツ姿の男性と母なる大地のかかわりあいを、セピア色の古写真で寓話的に描いていくと言った非常に物語性を感じる内容で、写真の一枚一枚がとても絵画的に構成されていて、その画面から個々のストーリーを想像出来、全体として大きな一つの世界観が見えてくるといった、絵本のような少し変わった作品集だと思います。
あまり写真には詳しくないので、写真芸術と言うと報道的なものや、対象に肉薄すると言った「リアル」な物を想像しがちだったのですが、この様に舞台装置を用意して非現実的な世界観を表現すると言う方向性を面白く感じました。
また、こう言った作品は一歩間違えると陳腐な物に見えてしまいそうなものですが、世界観や舞台装置などのチョイスの匙加減がとても巧いとも思います。
初期の頃から最新の作品まで順に載ってるので、徐々に方向性が固まり、手法を確立してゆく作家自身の成長が見て取れるのも興味深いです。