犯罪~特に重大犯罪~が、珍しかった、かつて世界で一番安全な国の住人にとって、犯罪は、身近な問題ではなかった。
だから、犯罪被害者に対する対応にも同情より先に、興味本位の背後関係を知りたがった。「人権派」を自称する弁護士も、犯罪被害者は、単なる証拠だといってはばからなかった。
こうした被害者の生の声を聞き、読んで、「明日はわが身」と思って、自分の、あるいは自分の属する社会の問題であると理解していただくきっかけとして本書は最適の本であると思う。