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グノーシス主義の思想―“父”というフィクション

価格: ¥2,625
カテゴリ: 単行本
ブランド: 春秋社
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グノーシス理解の新たな地平 ★★★★★
古代末期の政治体制の中で、様々な思想や文化が相互に深く混淆し、
影響を与え合っていた時代を背景にして、グノーシス主義前史から勃興期、
キリスト教との相互影響と対立・緊張関係、そしてその崩壊の軌跡、
現代における影響力について、重要でありながら明確な形で指摘されたことの無い、
『父なる神の存在に照らして自己を認識すること。』というキリスト教とグノーシス主義
に通抵する重要な認識に基づいて分析していきます。

第二章における『模倣』概念、第三章のラカンなどの精神分析の認識論を援用した
『模造』概念など、独創的な分析は「目からウロコ」で新たな認識の地平が開けた
感があります。

グノーシスの社会思想・社会批評的なアクチュアルな側面は、かってのフランクフルト学派
の『啓蒙の弁証法』を彷彿とさせます。

この辺り、西欧社会思想と『否定神学』の関係性をも感じます。

著者の今後の進化したグノーシス分析を期待します。
新たなグノーシス研究へ ★★★★★
今まで国内で「グノーシス主義」研究を行ってきた権威たちの研究方法は間違っていたと著者は指摘した上で、グノーシス主義の文献学・歴史学に実証主義を使い新たな考察を行っている貴重な内容です。

「序章」を読み、著者の研究スタイルが恐らく聖書・文献学者Bart D. Ehrmanや田川建三の様なものを目指しているのだということが感じられ、とても好感を持ちました。文献学・歴史学にロマン主義の研究・思想家を取り入れる事はファンタジーを生み出してしまう事に繋がり、歴史・宗教・文献の理解を歪曲してしまう事になると、ロマン主義的思想家・中沢新一とユングのグノーシス理解について著者が真摯に指摘する、この行は誠に的を射ているものだと感じ、とても好感を抱きました。

『(中沢新一の著作などは)容易に想像がつくことと思われるが、…口当たりの良いファンタジーにすぎず、まともな思想研究や宗教研究の名に値するものではない。中沢のグノーシス論もその例に漏れず、グノーシス主義に関して実際には氏がほとんど無知であり、…自分勝手な連想を繰り広げたものに過ぎない…』(p.18)

『また、ロマン主義的なグノーシス論の「元祖」と言うべきユングの研究については、…その内容はあえて言うなら「でたらめ」の一語に尽きる。』(p.19)

上記を踏まえた上で本書を一般的な読者にも理解できるようなものとする為に地中海世界の思想(文献・文書)を要約細かく説明しているので、グノーシスを全く知らない人でも読めるものに纏められています。横断的に解説される思想は、プラトン形而上学、新プラトン主義の神秘哲学、ストア哲学、アレクサンドリアのフィロン、オリゲネス、エイレナイオス、等々。こうして列挙する程、グノーシスを解説する事がどれ程困難なものか分かります。ただ、これだけの物を300頁に纏める事が出来たのか、やや説明し切れていない部分も恐らくあると感じるので、これからの研究も期待します。
わかりやすいグノーシス ★★★★★
早速読みました。難解なグノーシスの由来がわかりやすく読め、さらに古代神話、精神分析学、近代哲学の
思想に垣間見られるグノーシスの思想を横断的に解読することでその全体像がさらにつかみやすくなっている。
近年、アニメや漫画でとりあげられることの多くなったグノーシスの思想だが、その原点を読み返す意味でも
面白かった。またアニメや漫画などでは、グノーシスがいかに誤解にあふれて解釈されているかがよくわかる一冊だった。