メゾスコピック超入門
★★★★★
日本のメゾスコピック系の実験家が彼等が行った優れた実験についての一般向け解説文を集めた本。メゾスコピックにおける基本概念と共に、ここで解説されている実験の多くは世界的にも優れている。
一般向けに解説してあると言っても、実際の実験なので決して簡単に理解できるという事は無いが、まずは細かい理解など気にせず、ナノスケールの技術を駆使すれば何だか面白そうな事ができるんだな!と分かれば良いと思う。さらに、物理系や電子工学系の学生なら、量子力学や固体物理やエレクトロニクスを学び進めてから再びこの本を読み直す度に、行われている実験の面白さに新たに気付くと思う。
この分野に興味をもたれた方は、メゾスコピック物理に関する邦書も多いので、それらも良いかもしれませんが、DattaによるElectronic Transport in Mesoscopic Systemsを読み始めたらよいと思います。英語も読みやすく、極めて丁寧に解説されていて、ロジックを一歩一歩説明しながら進んで行きます。Ferry&GoodnickのTransport in Nanostructuresはもう少し広いトピックに渡って詳細に、そして実験家にも役立つように書かれています。