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音声研究入門

価格: ¥24,386
カテゴリ: 単行本
ブランド: 和泉書院
Amazon.co.jpで確認
音声を研究したい院生に ★★★★☆
たしかに「入門」書ではないですね。

音声学の概論を一通り勉強して知識を得た学生が、
卒論や修論で音声について扱いたい等の場合に
ちょうどいいかもしれません。

おまけの「録聞見」はDOS時代に一世を風靡したソフト。
最近は無料でダウンロードできる外国産ソフトに押され気味ですが
タダなら持っていて損はないと思います。
少なからず期待はずれの感が否めない。 ★★☆☆☆
タイトル・執筆陣・目次に加え、表紙カバーに印刷された「音声学の初心者、またすべての日本語を教える人、学ぶ人、必携の書」を見て、国語学・日本語方言・日本語教育・英語音声学・音響音声学の叡智を結集して、音声学に馴染みのない人を科学的な音声研究に誘おうとする本であることを期待した。

しかし、実際に読んでみると、少なくとも音声学の初心者には向かない本であることが分かった。音声器官や母音と子音といった章はあるものの、いきなり日本語の方言や英語の音声を使った各論に入っており、これでは別の本で日本語音声学・一般音声学を学んでからでないと理解できないだろう。

全般に記号類の凡例がなく、「分かっている人」でないと何が書いてあるのか想像できないだろうという部分が目立つ。また別の執筆者で同じことを違う表記や説明で述べるなど連携を欠いた部分もある。日本語教育に関する部分は他の部分との関連が全くなく、独立した小論のようになっている。第5章イントネーションの中の「文アクセント」は、最初から最後まで何を言っているのか分からない禅問答だ。

結局、本書には「編集」が不在でなのある。「船頭多くして船山に上る」ならまだ良い方で、「船沈む」といった観が強い。考えてみると、桐谷滋氏の寄稿による「緒言」はあるものの、本全体の目的を述べた「はしがき」の類がなく、編者による「編修後記」も、そのタイトルから期待されるような内容ではなく、つかみどころがない。おそらく本書は、想定される読者のプロファイリングがよくできていないのだろう。

とはいえ、一通りの日本語音声学の知識がある者にとっては、日本語方言のアクセント体系の解説など、役に立つ部分もあり、音声分析ソフト「音声録聞見」のフリー版も入手できるので、そのあたりを評価できるなら入手する価値はあるだろう。