もしあなたが「技術オタク」の地位と決別し、ハイバリューな「顧客指向エンジニア」を目指したいなら、あるいはゆくゆくはITコンサルタントとしてプロジェクトをリードしたいと思っているならば、いつも難しい技術書を読むためにあなたが費やしている膨大な時間のうち、ほんの僅かだけ削ることを提案したい。
そのかわり食後の30分、3ヶ月間、この本に目を通してみてはどうか?
なぜならこの本には、あなたが顧客といっしょになって考え、正しい結果を出すためのプロセスが分かりやすく書かれてあるからだ。
テクノロジーは人に使われてこそ価値がある。では人に(つまりは顧客に)喜んで使ってもらうにはどうしたらいいのか?
言うまでもなくその大事なヒントは、顧客の中にある。決してテクノロジーの中だけから生まれてくるものではないのだ。
本書は「コンサルティング」という切り口で、顧客とどう向き合うか?そして顧客からどのような情報を吸収し、どのように問題解決につなげていくのかについて、一連のプロセスと方法論を示している。また組織のダイナミックスにしばしば発生する、陥りやすいワナについても言及している。
このようなハイタッチなスキルを身につけ、顧客企業のキーマンとわたりあえるエンジニアならば、どのような時代にどこへいっても「引く手あまた」と言えるだろう。
読んでみて解かった事は、経営コンサルティングには計数分析・問題解決等の専門知識やテクニックだけではなく、それらを実行し展開するためにはむしろ、直面する状況や課題をどのように考え、それを人々にどうやって伝えるかというスキルが重要である、ということである。
本書によって、「この変化の速く・激しい時代にあっても、コンサルタントとして普遍的に要求される真の能力は何か」を理解し、また、具体的なコンサルティングの方法も網羅的に学ぶことができた。コンサルタントに限らず、プロフェッショナル・ビジネス・パーソンとして自分の価値を高め、キャリアアップを目指している皆さんに、ぜひともお薦めしたい書である。