果つることなき未来ヨリ
価格: ¥10,584
原画/キャラクターデザイン:渡辺明夫/フミオ/INO
シナリオ:藤崎竜太/七央結日/かづや/桑島由一
■オープニングテーマ:歌唱:Rita 作曲:松本文紀 作詞:桑島由一 / ■エンディングテーマ:藤間仁(Elements Garden)/松本文紀
(C)Frontwing
『…ここは…どこだ?』
周りは一面砂だらけ。
どこをどう見ても砂漠にしか見えない。
海上で戦っていたはずなのに。
敵の空母に体当たりをしたはずなのに。
愛機は鼻先を砂丘に沈めたまま、ただ静かにその身を夜の砂漠に横たえていた。
『俺は…死んだのか…?』
だとしても、ここが地獄なのか天国なのかもわからない。
天国という場所が、どれほどの高さにあるのかは知らないが、8千メートルまで上がった経験のある俺でも、天国は見たことがなかった。
操縦席から這い出し、砂に足を降ろせばザッと踏みしめる音が鳴った。
どうやら、雲の上という訳でもないらしい。
ならば地獄か?
空で死んだ者の魂は、二度と地上には降りてこないという話も聞いたことがある。
こうして地面があるのならば、ここは地獄なのだろう。
だが、慌てることはない。
自分の行き先は、決まっているのだ。
『…日本は…どっちだ?』
愛機の操縦席に首を突っ込み、計器盤の方位磁針をのぞき込むが、突入の瞬間に頭をぶつけでもしたのか、計器盤は割れ、使い物にはならなかった。
『…とりあえず、愛機がこの有様では、歩かねばならんのは間違いないようだ…』
俺は出撃時に貰った握り飯とサイダーの瓶を操縦席から引きずり出すと、マフラーで包みにして背中に背負い、あてもなく砂漠を歩きだした。
『帰らなくては…俺はまだ死んでない…生きてる内は戦うと…約束したんだ‥』