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アスベスト禍 ―国家的不作為のツケ (集英社新書)

価格: ¥1
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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魔法の鉱物⇒アスベストとは ★★★☆☆
数年前、企業から連日競うように被害者数が報告されて、すっかり有名になった
「アスベスト」についてのルポです。全体的に寄せ集めで書き上げた感が否めず、
もう少しマスコミ的な論調から抜け出して欲しいと思えて、やや残念です。
あれだけの被害をもたらす材料なので、当然規制する方向に動くのを訴えるのは
容易ですが、代替材料などの開発状況やその効果・安全性などを十分に考慮されているかは
やや考察が甘いように思えます。悪いものを悪いというのは簡単なのですが、海外で
早くから規制されていたので、日本でも当然同じタイミングで規制されるべきで
あった、というのでは、逆に日本は自身の判断基準を放棄しているようにも取れます。
逆の状況が生じた場合はどうなのでしょうか?
アスベスト関連業界(団体)・政治(省庁)・学界との相互癒着があったであろうことは、
指摘の通りで問題解決を遅延させていたことも理解できるのですが、今後の方針に
ついては、十分に議論しつくされた内容とは言いがたいと思います。
話題の時期にとりあえずの一報として発刊したのであれば、もう一度考察し直して
欲しいところです。
間違いなく良書です ★★★★☆
タイトルを一瞥して、ちょっと「防衛線」を心の中で張って読み始めましたが、意外に冷静な視点から入っていました。アスベストの基本知識に関する第二章、第三章は必見です。行政にどのような情報が入っていたのかを丹念に追った第八章も是非ご覧ください。

ファクトとして意外だったのが、欧米でもアスベストの全面禁止はつい最近だということ。第八章によると、日本の労働省が吹き付け禁止を通達したのが76年。米国は73年、オランダは77年に(恐らく法令で)吹き付けを禁止しました。アスベストの使用禁止は、日本が08年を目途に進めているところ、アイスランドが83年、スウェーデン86年と早めですが、EU全域では99年。アメリカではEPAが86年に打ち出した全面使用禁止措置が連邦高裁で違法とされ、無効とされています。

気になったのが、冷静に事実を記載する一方で、事態の深刻さからか、ついつい感情的になっているところです。関係者が多く登場しますが、実際に被害を受けられた方々より、有識者の方々が頭に血が上っておられるのではないか、と思われる箇所が目につきました。
著者自身は、行政の責任を追及する際、根拠となる通達や研究成果を示して冷静に「事実に語らせる」努力をしているのですが、一部、根拠資料が不明なまま意見を述べられているところがあります。例えば、「〜のはずだ」という証言中、「〜」を事実とみなして意見を組み立てている箇所が幾つかあります。最も違和感を感じたのが141ページ。93年の文書を01年の知見で否定しています。

本書は間違いなく良書です。そうは思いつつも、ファクトに語らせることを好む私としては、数箇所の不足とはいえ、星一つ減点させていただきました。
アスベストは何をもたらそうとしているのか ★★★★☆
 アスベストは最近話題になっているように「静かな時限爆弾」としてようやく問題視されるようになり、その被害が続々とあらわれはじめている。アスベストは以前から危険だと政府には認識されていたが、十分な対策が採られることはなかった。業界も適切に扱えば危険がないとの一点張り。マスコミは一時的に騒ぎ立てるだけ。誰もがこの問題を放置し続けた。その付けが長い潜伏期を経て現れようとしている。
 アスベストは職業病、労災ではない、公害である。アスベストに曝されていた労働者やその家族までもが病に伏し、悲痛の叫びを上げている。国、企業による補償も十分なものではない。この国民的な問題ともいえるアスベスト問題を今後どうするか。日本が高度経済成長で得た代償はあまりにも大きすぎる。
アスベスト問題入門 ★★★★★
 本書は,アスベスト問題を「アスベスト(石綿)が,人体と環境に残した負の遺産は,今や労災,公害の枠にはおさまらない国民的災害といえる.」というスタンスで,まとめられた労作である.
 クボタのアスベスト問題から,鉱物資源としてのアスベストの歴史,集団訴訟,公共施設におけるアスベストの使用,解体作業でのアスベスト問題,労災問題,法規制の遅れ,アスベスト対策や治療,アスベスト新法案など,アスベストに関する幅広いトピックスを220ページに凝縮している.また,参考文献やアスベスト関連の団体のリストもつけられており入門書として好適である.
 第四章の『「公」にすくうアスベスト』の,渋谷公会堂に関する渋谷区総務課とのやりとり記述をよむと,行政の現場には,その内部に,必ず「科学」や「工学」の知識がある管理職が必要であることを,改めて痛感させられた.
 アスベスト問題だけでなく,広い意味での環境問題に関心のある方すべてにオススメの一冊.