PP(パーカーポイント)の最新データベース
★★★★☆
ワイン売り場でよく見かけるPP(パーカーポイント)のデータ集です。前回の第6版から6年経過し、大幅に改訂されて2008年の10月に出版されました。生産者ごとに、現在市場で手に入る最近5〜8年程度のヴィンテージのテイスティングに基づく点数を掲載している点は前回までと同じですが、今回は、一本ごとのテイスティングコメントはばっさり削除され、その代わり、掲載データが大幅に増えています。副題には8,000本の評価と書かれていますが、おそらく、6版の10倍近いワインが掲載されていると思われます。また、一本ごとの価格帯は省略され、生産者ごとに価格帯が表示されるようになりました。その代わり、飲み頃のデータは、一覧表中に記載され、分かりやすくなっています。
今回の改訂の趣旨として、より多くの地域のワインをとりあげたかったとパーカーが書いているように、これまで、個別のデータが載っていなかったドイツ、ロワール、アルゼンチン、チリなどのワインの個別の評価が掲載されています。
6版までは、ワインのテイスティング結果についてのパーカーの独特の言い回しで、ワインの微妙なニュアンスを読み取るのが楽しかったのですが、一方、掲載データの多い生産者では目的のワインのコメントを探すのに苦労した本でした。今回の改訂では、文章の量が減り、本というよりPPと飲み頃のクイックリファレンスのデータベースという色彩が強くなっています。その意味では、英語が苦手な人でも使いやすくなっているといえると思います。
ワインごとの価格情報がなくなったのは残念ですが、もともと米国と日本では異なるし、時間とともに変わるものなので、やはり、ワインを買うときによいヴィンテージなのかどうか、そして買ったワインをいつごろ飲むべきかについてのデータが集約されている本書は、ワインを買い、熟成させて飲む同好者にとって、とりあえず今手元においておくべき一冊といえるのではないでしょうか。