インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

大江山花伝 (小学館文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
Amazon.co.jpで確認
きっと、「能」を見たくなる! ★★★★☆
この本には「大江山花伝・鬼の泉・花伝ツァ」という鬼と人間の情愛をベースに描いた物語と能の創始者世阿弥と足利義満を登場させた「夢幻花伝」が入っています。いずれもが悲恋でありますが、心理描写が素晴らしく、これを機に日本の古典や能楽に興味を持つ学生さんもいるのではないでしょうか。
「花伝ツァ」を読むと上田秋成の「雨月物語」を読みたくなったり、「夢幻花伝」で登場する「井筒」の恋歌は「伊勢物語」への興味をそそり、能も見てみようかと思ったり。
同性愛的ストーリーはさておき、良い意味で読者に多くの影響を与える漫画といえます。尚、同作者による長編「摩利と新吾(旧制高校を舞台としたバンカラ・友情・夢・涙の物語)」もおすすめです。
幻想と現実と ★★★★★
表題「大江山花伝」他、木原氏がテーマとする鬼の一族の話もなかなか面白かったのですが、やはりおすすめは世阿弥バナシ「夢幻花伝」でしょう!
木原氏の能への傾倒ぶりが随所に窺える効果的な引用がツボです。

注目すべきは能の大成者・世阿弥と足利幕府三代将軍・義満との絡み!

お互いがお互いの大事を成すという共通の目標のもとに惹かれながら、美しく、かつ激しく対抗し合う近づき過ぎない微妙な距離感が非常にいい味を出してます。かなり人物の背景を咀嚼してないと、こういうふうには描けないと思います。さすがです。

二人の苛烈な関係に追い風を送るのが、幕府に抵抗する南朝の皇子・紗王と側近・武緒。世阿弥と義満をただ能の世界の幽玄夢幻に閉じ込めて終わらせないで、現実的に二人のお!かれる立場を再確認させるいいタイミングで登場します。
紗王の妹で世阿弥の筒井筒の君である亜火との悲しいエピソードも、ドラマチックで切ない‥‥。

様々な立場に生きる人々の懸命な生き方と関わった世阿弥が、これらの切なさや悲しみを乗り越えて、芸に昇華させる過程をきちんと描いたところに、この漫画の一番の見どころが集約されているといえるでしょう。
オリジナリティを押し出しながら、史実を踏襲し、しかもこれだけ読ませる歴史漫画って貴重だと思います。