参考にはなるが・・
★★☆☆☆
ヤクザの世界を知らない人が読むには良い本。
自分も全く知らない世界だったので、非常に勉強にはなった。
しかし、組織論を学びたい読者には勧められないか。
読めば読むほど、ヤクザの組織の特異性が浮かび上がってくるので、
実際の企業などの組織に応用するのは少し無理があるか・・・
組織論じゃないですね.ヤクザ概論ってところ.
★★★☆☆
組織論としては何の変哲もない内容.信頼や情報や金が大切だとか,目的に向かって合理的に行動すると強いとか,上役の能力が重要とか,名前が強ければ戦わずに勝ちやすいとか,当たり前のことだらけ.ヤクザでも会社でも学校でも役所でも同じことである.まあ,「ヤクザが特別ってわけじゃない」ということに意外性を感じる人にとっては新鮮かも.ヤクザに特化した組織運営の面白いことでも書いてあると期待して読んだんだけど,ほぼ,書かれていなかった.行動原理のどこが問題かとか,フロント企業が重要な資金源たりえるのはなぜかとか,リクルーティングとか,末端構成員や準構成員の生活とか,子息への影響とか,そのあたりのことはほとんど書かれていない.
本書が良いのは,マスコミがまず報じない生の声(匿名だから裏付けはできないが)を多数載せていたり,マスコミが言わないだけじゃなくって兵庫県警のウェブサイトにも書かれていない「暴力団とはなにか」や「山口組とは」について書かれていたりすることである.歴史的背景やマスコミが表面だけセンセーショナルに報じた事件の詳細は非常に読みやすく書かれている.そのため,「ヤクザ概論」として読むなら悪くない.
「ヤクザの組織論」?「ヤクザに学ぶ組織論」?
★★☆☆☆
どのような組織でも、組織の目的がある限り、目的の達成に向かって組織の運営を行う指針があろう。厳しい社会の視線にさらされながら他の同業組織と熾烈に競合しなければならない、ヤクザ組織にはムダをそぎ落とした組織規律が必要とされよう。
その規律を実現・維持し、厳しい環境の中で組織を拡大していくためには、特に組織の頂点に立つ者に求められる資質のレベルは非常に高いものであろう。この点で、本書で取上げられる幾人かの統率者は他の組織であっても優れた能力を発揮することができた可能性が高い。
しかし、組織の目的や社会的役割を離れて、どのように組織論を論ずべきであろうか。著者は長年にわたり熱心に業界を取材してきたことが窺われるが、「ヤクザに学ぶ」組織論と「ヤクザの」組織論との関係が心に引っかかり、読みながら実録物的なスタンスに傾いてしまうことになった。
近年のちくま新書のカバー範囲の広さを示す一冊と言えるかも知れない。
組織論としては物足りないが、読み物として面白かった。
★★★☆☆
本書は、ヤクザ社会に精通した著者が、自ら取材し入手したヤクザ社会の住人の肉声をもとに、近代ヤクザ組織の特徴やヤクザ社会について綴ったもの。
面白かったのは、博徒系組織(縦型)とテキヤ系組織(横型)の組織原理の違い、関東系ヤクザ(緩やかな連合形式)と関西系ヤクザ(強固なピラミッド型)の組織原理の違い、山口組躍進の秘密、リーダーの強いカリスマ性、他組織の切り崩し方、破門・絶縁状、等々。ヤクザとカタギ社会との関係に関しては、暴力団対策法施行後かえって事態が厄介な方向に進んだという見方も面白い。
私自身は、法の及ばない世界で何が秩序をもたらすのか、という点に関心があり、裏社会を成り立たせている社会原理についての学術寄りの本のつもりで本書を手に取った。本書では著者独自のヤクザ組織論を論証するというスタイルをとっていないため、正直やや物足りなかった。章題と内容の対応や章立てそのものに関しても最適ではないように思うし、話が前後するきらいがあるようにも思う。ただし、全く知らない世界の話なので、読み物としては充分楽しむことができた。
組織の本質って一緒ですな
★★★☆☆
僕が感じたポイントは3つ
1)安目を売らない
組織の一員として動くときは安めを売ってはいけない
安めを売る:自分の落ち度で弱みのある立場に置かれ、相手を優位に立たせてしまうこと
2)ピラミッド型組織
指揮系統・規律を大事にすることで、組織力を最大化する体制
関西のピラミッド型(近代的組織型)、関東の連合型(家族的組織型)を比較して、話していました。関西の山口組が関東の組織よりも組織のスキーム上、圧倒的に強いというお話。
3)情報収集力の重要性
縄張りに関しては、どんなにささいなことでも最速で情報が伝達されるような人間関係を構築・維持する。
お酒を飲まなくても、飲み屋から情報が入るように飲み屋に通っている人のエピソードがありました。