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Complex Analysis (Universitext)

価格: ¥7,251
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Springer
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数論を目指す方々に是非お勧めしたい関数論入門 ★★★★★
 本書は大変面白い教科書だ。関数論の教科書の書き方は、その先に何を見据えるかによって色々あり得る。本書が選択したのは、「数論」を目指す関数論という道なのである。

 500ページの本文は全7章に分かれており、前半の1〜4章(240頁ある)は複素平面の導入から始まる函数論入門として標準的なものになっている。しかし、抽象的な話題は避け具体的な計算を重視する書き方になっている。この部分は、神保道夫「複素関数入門 岩波書店」の大変良い補いになっていると思う。是非併読をお勧めしたい。また、第4章で詳述されるガンマ関数の初等的性質も、数論を目指す方々には大変有用であろう。

 本書の本領が発揮されて来るのは後半の第5章以降になる。そこでは4章までの準備を踏まえて、楕円関数論、楕円モジュラー形式、解析数論がそれぞれ詳細に扱われる。特に、第7章の解析数論では、アイゼンシュタイン級数のフーリエ展開や、ディリクレ級数のメリン変換、リーマン・ゼータ関数の解析接続等が計算も含め詳しく述べられ、本書全体のフィナーレとして、素数定理の証明が与えられている。また演習問題の中でヘッケ作用素にも(少しだが)触れられており、これも数論を目指す方々には本書を読み進んでゆく為の大変良い動機付けになるだろう。

 本書は関数論の計算を重視し、読者は手を動かし演習問題を自力で解いて行きながら読んで行くことを要求される(詳しい回答が巻末にある)。それが本書を楽しむための必須の要件なのだ。だがその様に読めば大著だが大変楽しく有益な教科書になっている

 本書の後に読むべき書物は間違いなく「ザギヤー 数論入門 岩波書店」であろう。この本に入るための解析的準備が、本書で完全に行われるのだから。