こんな本を待っていました!
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本書は、「婦人科内分泌外来において対応に迷う諸問題に対して、具体的な指針がほしいという臨床現場からの要望に応えるべく企画された」とあります。確かに、内分泌疾患の診療に苦手意識を持っている医師が多いのは事実だと思います。
本書の内容は「思春期の異常」「月経異常」「不妊症」「更年期・老年期障害」「そのほか」の5項目からなっており、具体的には以下のような99の質問に、各領域の専門家が簡潔かつ具体的に回答しています。
● 「ターナー症候群の患者は、診断確定後に速やかにホルモン補充療法を行うべきでしょうか。また、何歳まで治療を続ければよいでしょうか。治療方針と対処の実際について教えて下さい」
● 「第一度無月経の患者の治療は、カウフマン療法とクロミフェン療法のどちらを優先するべきでしょうか。治療方針と対処の実際について教えて下さい」
● 「黄体期能不全の患者に対するhCGと黄体ホルモンの使い分け、実際の投与法について教えて下さい」
● 「更年期障害の患者に対して、第一選択としてホルモン補充療法を行うべき症状は何でしょうか。また、ホルモン剤、漢方薬、そのほかの製剤の使い分けについて教えて下さい」
● 「経産婦の緊急避妊法としての子宮内避妊器具の挿入について、詳しく教えて下さい。本当に効果が期待できるのでしょうか」
類似の問いに対して、回答に若干の重複がみられる部分があるものの、「実際の臨床現場で遭遇し、その対応に苦慮した事柄・事例を広く拾い上げた」とあるとおり、臨床の現場で役立つ、きわめて有用な書籍といえます。ともかく、この本を読めば、その分だけ外来での診療能力が上がること請け合いです。私は、こんな本を待っていました。