中国語を学ぶためのヒントがいっぱいです
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中国文を読むことにかけて、当代随一の著者による、日本語と中国語の比較の
話である。
漢文は、われわれが高校で学んだ「訓読法」によって、中国語を読む独創的な
方法であるが、われわれ日本人も、中国人のように中国語を読めないわけでは
ない。吉川氏は初期から、学生に、原音で教えてきたのであり、「そうでないと、
詩も文章も、そのパトスにまでわたって把握できないと信ずるからである。」
と言われる。(047ページ)
そして、ご自分の体験に基づいて、漢字の多さに無用の恐れを抱くことはない
こと、また、学習の初期には、一生懸命に字引きを引いたが、その後は、文章
の上下をみつめることに専心すべき、といわれる。
なお、本文では、論語、孟子、史記などの文章が引かれて、中国語の特徴が分析
されるが、特に孟子の第1編2章「梁恵王上」の解説の箇所は、見事である。
(099ページ以下)
文庫本であるが、内容豊富な1冊である。