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スコープ少年の不思議な旅

価格: ¥1,785
カテゴリ: 単行本
ブランド: パロル舎
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レンズの向こう側 ★★★★☆
丸く切り取られた写真が続きます。
被写体は小箱の中に閉じ込められた、小さな部屋だったり
廊下だったり、庭だったりします。

個人的に気に入ったのは長く続く廊下の写真でした。
長い廊下の壁に、無数に並んだドアと、
何故かそれに向き合うよう並べられた椅子とテーブル。
静寂で、一見陰鬱に感じる風景なのですが、
窓からこぼれる明るい光(午前中の陽光に見えます)に救われるのです。

作品は退廃的な風景が多いのですが、ほとんどに窓やドアがあり、
そこから見える外の景色や光がとても綺麗です。
光の当て方によって全然違う雰囲気になる小箱もあるらしく、
その精巧な造りに感心させられます。


ただ、大きな写真でちゃんと紹介されていない作品が数点あるようで
(終わりのほうに小さく載ってました)、それが残念だったので☆4つで。
覗くという心理 ★★★★★
マルセル・デュシャンからの影響を受け、
”覗く”世界『スコープ』を創りだしている桑原氏。
真鍮の箱の中にはミクロコスモス。
小さな椅子やその扉のノブまですべて彼が創りだしている。
スコープにライトをあてると、幻想的かつ懐かしい情景が、
デジャ・ビュのような感覚で広がる。
ライトを当てる位置によって刻々と風景が変わっていく。
朝の景色、黄昏時、深夜・・・
亡き瀧口修造や澁澤龍彦に見せたい・・・
今でもそんな気持ちで作っているそうだ。
そんな彼の作品を見出した巌谷氏との共著。
実物を見るのが一番だがこの作品集も優秀な1冊。
自分の掌に世界をおさめるために ★★★★★
スコープとは、もともと顕微鏡や望遠鏡のような、
世界を拡大してみる器械のことだという。
しかしアーティスト桑原弘明の造るスコープは
この世界を拡大してみるものではない。

掌に乗る位の小さな箱、そこから細い筒が出ていて
先端のレンズを覗くと、そこにオブジェがある。
それが桑原弘明の世界だ。

僕たちは巌谷国士の文章に導かれながら
いつか見たノスタルジアの世界を旅するように
極小のオブジェが写された
素敵なページを次々とめくるようになる。
それはそう、不思議な旅以外ナニモノでもない。

読み終えた後、誰もがこのスコープが欲しくなるだろう。
自分の掌に世界をおさめるために。
本という名のスコープから ★★★★★
この絵本はスコープをのぞくように、ページをめくります。
巖谷さんの言葉たち、そして桑原さんのスコープがスコープ少年を旅立たせる。
わくわくして覗くと、そこはアリスの世界や、庭園がひろがっている。
黒く小さなこの絵本に、どれだけの世界がひろがっているか!
小さくて、なによりも広い。この時期クリスマスプレゼントにされたら、もうたまらない絵本!!

旅に出る ★★★★★
巌谷氏の文字の上を踊り、少年になった私は桑原氏のスコープの中を飛び回る。
どこへ旅に出るのか。
どこに辿り着くのか。
大きな私が小さな少年に。
現実はどこか。少年はどこか。
たくさんのスコープ少年が飛び回る。
そして行き着く先も行きたい場所も異なる。
皆がスコープ少年になれるのだ。