お薦めします
★★★★★
「はじめに」で著者が書いている通り、従来の電気化学の教科書とは少々毛色が違った本です。細かいとこ
ろを読み込んでいくほど、その印象が強まります。これは著者が実際に体験した「躓き」を元に、如何にそれ
をクリアしていくかという点に相当の気配りをしているからでしょう。たとえば、2章で数多く出てくる内部
電位のプロファイルと他の図やグラフとの連携図などは、そのよい例です。
とにかく一般には両立し難い、わかりやすさと細部までの精密さが同居した珍しい本だと思います。ちょっ
と欲を言えば、「あとがき」にあるように電気化学ポテンシャルと実ポテンシャルの概念を前面に押し立てた
記述をして欲しかったのですが、初学者のことを考えるとそこは仕方ないのかもしれません。