シリーズ第17作
★★★★☆
人の縁と、恨みが交錯する展開。永井勘解由が職を辞し隠居するきっかけとなった八年前の同僚の汚職事件。切腹した同僚の息子たちが、一人は身を持ち崩し、もう一人は成長して驚くべき職に就いていた。探索の体を装い、永井への恨みを晴らそうとする。萩江こと久栄の過去を暴く投げ文の送り主を突き止め、捕縛に向かった一行だった。事件は落着し、永井邸に呼ばれた栄三郎に勘解由がある決断を述べる。常に冷静で飄々としている栄三郎だが、今回は自分の心に素直に向き合い、それを受けるのであった。歌舞伎の大団円のような見事な幕切れである。