切ないお話です。天才数学者ｖｓ天才物理学者といった構図よりも、堤真一さんと松雪泰子さんを軸に作られた物語で、その二人の存在感が作品の評価を二つも三つも上げているのは間違いありません。

　以下は、福山雅治に特別な思い入れを持たない人間の意見です。


　「天才数学者・石神とはどういう人間なのか。」

　この映画はそれがすべてなのではないかと思います。

　花岡靖子と娘の美里は、執拗に付きまとい暴力をふるう元夫・富樫を殺してしまう。
靖子に好意を持つ石神は精緻なトリックを作り上げて、警察の追及からこの親子を
守ろうとした。

　天才物理学者・湯川が「天才」と認めた数学者・石神が、その頭脳を駆使して
トリックを作り上げ、そのシナリオに沿って花岡親子に指示を出して行く。

　トリック自体は物語の中盤くらいで何となく分かってしまうのでたいした事は
ありませんが、物語が進んで行くにつれ洗い出されてくる「石神とはどんな人間
なのか？」というところが見事でした。

　すべてを捨てて靖子の為に尽くす石神の気持ちを知りながら、他の男と付き合おう
とする靖子の自己中心さ。

　「ストーカーが富樫から石神に替っただけではないのか？」と恐怖する靖子。

　石神という人間を浮かび上がらせる為に、この２点をもう少していねいに描くべき
ではなかったか？

　そこは若干不満でした。

　しかし、石神の取った行動に共感はできないものの、石神がとても美しい人間なのだ
と分かり、とても感動しました。

福山雅治と堤真一の演技が輝いていた。得に福山雅治の湯川学の見たことない友に対する演技は観客を感情移入させてくれる。堤真一は天才数学学者石神を演じている。なかなか自分の思いを伝えられず恋する女性容疑者の献身になる。堤真一がなかなかやらなそうな役柄だった。映画は二人の電話するシーンで二画面にし二人の演技を描き出しリアルだった。ストーリー全面に渡り事件を解決するための鍵がたくさんある。ドラマとはまた違ったガリレオだった。ラストはなかなか感動した。しかしエンドロールの本当の最後に「vs.〜知覚と快楽の螺旋〜」はKYだった。「最愛」からの切り替えは無駄。

正直、主人公二人は必要ないです。
ともかく石神を見てください。

最後の最後で、「献身」というタイトルの意味がわかります。
登場人物たちそれぞれの思いの深さに
きっと心を打たれると思います。

自分は小説よりもこちらの方が好きですね。

最後まで見て、『最愛』という主題歌がぴったりだと思いました。
ドラマ版とは違うガリレオ先生の人間っぽさも描かれていて、ドラマを見た人はもちろん、見ていない方も十分に楽しめる作品だと思います。
また、原作とはまた違う面白さがある映画だと思うのですが、映画を見てから原作を見る方が楽しめると思います。
福山さんはもちろん素敵なんですが、堤さんの演技力には脱帽！ほんとにすごい役者さんです！
福山さんや東野さん（原作者）が好きな方は、こちらのスペシャルエディションをお勧めしますが、映画だけでいいならスタンダードエディションでも十分だと思います。
ドラマ版のDVD-BOXのように、もっと特典があれば、嬉しかったのですが…。
できれば、堤さんのインタビューもほしかったかなぁと思います。