Amazon.co.jp: ご自分の境遇を、決して誰かのせいにしたり、かっこつけることなく、そのときの感情を素直に表現されています。初めてポルノ映画に出演されたときのことは、セックスが自分に支配力を与えてくれた、書かれていますが、15歳の少女にとってなぜ支配することがそんなに重要だったのですか?
トレイシー・ローズ: 当時の私の生活は、自分の手に負えるものではありませんでした。何の拠り所もなかった。私のまわりには、自分を守ってくれる人もいなくて、両親も私を導いてはくれませんでした。私は自分にまったく自信がなくて、とても傷つきやすかった。15歳だった私は、自ら自分の道を選ぶことで強くなれたような気がしたんです。それが危険な選択だとしても。自分の人生をコントロールできるような幻想を抱いてしまったのだと思います。
Amazon.co.jp: 本書で子どもの教育にまったく無関心だったご両親や、あなたを搾取して、暴力までふるったボーイフレンドのことさえ思いやっています。なぜ人に寛容になれるのでしょうか。
ローズ: 私も聖人じゃないし、人間は間違いを犯すもの。人を許すことができれば、心から憎むことはできません。
Amazon.co.jp: 18歳でFBIに保護されてからも、不必要な監視を続ける連邦捜査官たち、執拗なマスコミ攻勢やポルノ業界からの脅迫といった、18歳の女の子にはあまりに残酷な世間の仕打ちに耐え、前向きに生きてこられました。何があなたを支えてくれたのでしょうか。
ローズ: 私は自分に誇りを持ちたかった。18歳のとき、私は自分に誇りを持っているとはとても言えなかったんです。いまは胸をはってそう言えます。
Amazon.co.jp: 「父の庭」は幸せの象徴としても、また、レイプされた経験を歌詞にした曲のタイトルにも使われています。「父の庭」はあなたにとってどんな意味を持つのでしょうか。
ローズ: 父の家の裏庭は決して忘れることのできない場所です。いまでも、刈りたての芝の匂いを思い出します。とても美しい場所で、それと同時に不吉な場所でもあります。本当にいろいろなことがありました。心に残っているのは、洗濯物を干す母の姿や、庭で野菜を育てたこと。そこには日常がありました。
その一方で、庭は死の象徴でもあります。父はよく狩りをしていたので、鼻にツンとくる、死んだ動物の匂いを忘れられません。毎年、リンゴの木に鹿が逆さに吊るされ、地面に血の海ができていました。その様子が脳裏にこびりついて、血の海が「父の庭」の楽しい思い出にとって代わりました。その血は、鹿の血だったはずなのに、いつのまにか私の頭の中で、は私の血になっていたんです。
Amazon.co.jp: ブルックとの出会いは映画のワンシーンのようにロマンティックに描かれています。ブルックと離婚したのち、ジェフを受け入れるためにブルックに連絡を取り、彼への思いを精算されています。恋愛感情を理性的にコントロールできるものなのでしょうか。
ローズ: 練習次第! 人の気持ちはとても複雑で、だからこそ、自分自身を100%信用することができないんだと思う。それどころか、私たちは自分がそうありたい状況を空想してしまいがちで、自分の気持ちを曇らせてしまうもの。私はブルックを愛していたし、お互いに必要としていた。でも、結局、彼は私が求めている結婚相手ではなかったの。それに気づくまでに何年もかかったけど、気づいてからすぐ、シンプルで、率直で、純粋な愛を見つけたんです。
Amazon.co.jp: 次の目標を教えてください。
ローズ: いま、2冊目の本を書いています。今度はフィクションです。また、映画をちょうど撮り終えたところで、次はTVドラマを創りたいと思っています。また、ジェフと結婚3周年を迎えます。今年の私の目標は目一杯働いて、できる限り遊ぶこと。生活のバランスを保つことが私の永遠の課題ですね。