たとえば著者は、欧米人は言い訳ばかりで反省しないといわれるが、欧米人にとって「反省」はあくまで自分の心のなかでのことで、もし自分の欠点やミスをあえて語れば「ネガティブな人」とレッテルを貼られるのがオチだという。そんな欧米人を説得するには「逃げ道」を残した批判が有効だとして、いくつかのフレーズを紹介する。
こうして本書では、「根回し」「反論」「自己主張」などのキーワードを読み解くほか、欧米人がよく用いるロジックや詭弁術の対抗策を示したり、議論で欧米人を不快にさせるしぐさや行動を紹介したりもする。最終章にまとめた「いざというときに使える議論の英語」をはじめ、実用的な英語表現を全体に散りばめたのが特徴である。
言語が文化そのものなら、文化の理解が英語力アップの近道だという著者の視点はうなずける。そのために必要な心構えも強調しており、生きた英語力を磨く一助になるだろう。一部で米国の東部と西部の違いに触れているが、そうした「欧米人」のなかでの「コトバ」の差異はもう少し教えてほしいところだ。(棚上 勉)