America's Fascination and Obsession
★★★★☆
祖先を18世紀のマサチューセッツ州の法律家に遡る
東部の名門エスタブリッシュメントの一族のもと、
1940年代、カリフォルニアに生まれた、
Edie Sedgewick (イーディー・セジュウィック)という女性の
生涯を、家族や友人を含め、彼女とその家族を知る人々
への膨大なインタビューから構成しています。
彼女の名前が世に知られるようになったのは
1960年代、ウォホールのファクトリーで制作された一連の
実験映画への出演と、ウォホールとの繋がりによってであった
けれど、当時の最先端の行ったウォホールのシーンの
「シーック (chic)」(ファッション)とセレブ・コンプレックス、
過去を完膚なきまでに否定したアートとドラッグシーンの現実が、
実際にその場にいた人々の口を通して語られている、
そのリアリティと破壊的なエネルギーの現実に、
アメリカという国にとって、1960年代のポップアート・シーンとは
一体なんだったのか、改めて考えさせられます。
ナレーションを一切はさまない手法には、
読者を掴んで離さない圧倒的な魅力があり、
人があこがれるような名門の家庭に生まれ育った一女性が、
60年代のカルチャー(&ドラッグ)シーンの中で辿った足跡に、
多くのアメリカ人が、他人事とは思えない、
自らの60年代との関わりを重ねて読まずにはいられない、のが
納得できます。
インタビューされている人々の中には、カポーティ、
ラウシェンバーグ、ノーマン・メイラー、ゴアヴィダル、
ジョン・ケイジ、パッティ・スミス、などなど、
当時のカルチャーシーンを彩る著名人が数多く含まれ、
当時を語っていますが、その意味でも興味が尽きません。
巻末の系図および、インタビューされた人全員に関する
短いプロフも資料的価値あり。
このレビューは、1982年Knopf 版について書いていますが、
改訂版が、何冊が出ており、
版によって収録されている写真が違います。
タイトルも"Edie: An American Biography" から
このタイトルに変更されたようです。内容からすると、
オリジナル・タイトルの方がベターだったような・・・