白戸三平先生の原作の雰囲気が伝わる秀作
★★★★★
生まれ故に「忍びの道」を選んだカムイ、そして「忍び」に疑問を抱き「抜け忍」となり、追われる身の孤独と常に人を疑わねばならない立場に追い込まれるが、束の間の平穏に身を委ねていると、彼を愛した周囲の人達は、無残にも殺され、悲しみと孤独に苛まれながら敵を倒して去ってゆく。今回の作品では、その世界が見事に表現されている。松山ケンイチもその雰囲気を良く表現できていたと思う
やっぱりね。
★☆☆☆☆
松ケンファンの私でも、退屈してしまった。かっちょいいアクションをするたびに、「どんなもんだい」的に、スローにされて、歯肉が、むずがゆくなった。良い評判を、あまり聞かないこの作品、やっぱり買うべきではなかった。
ヌルっとした映像
★☆☆☆☆
動物のCGがヌルっとしていて、
『ヤッターマン “てんこ盛りDVD”』以上に気持ち悪い。
つーか、怖いヨ・・・
残虐シーンも、中途半端に尺が長いので、後味が悪い。
物理法則とのズレが目立つワイヤーアクションや、
ペラっとした2D合成の満載ブリに、その都度突っ込むのも、だんたんと飽きてくる。
監督を始め、出演者、スタッフ共に、『GOEMON [DVD]』を目指したものの、
『ドラゴンボール EVOLUTION (特別編) [DVD]』みたいに“なっちゃいました感”が満載。
最初からB級映画を目指すのではなく、
真面目にやっているだけに、不具合を探しながら鑑賞するのも忍びない。
白土原作の持つ厳粛かつ壮大な世界観が台無し。白土さんの劇画とアニメで十分です。
★☆☆☆☆
この映画の製作者サイドは、原作(劇画版とアニメ版)の“カムイ”を観て、ちゃんと理解していたのだろうか?
主演の人は顔も体型も声も演技も全然“カムイ”じゃないと思う。
そう、むしろ“刀”をやめてU字型の“刺又”という棒を持たせれば、正に『カムイ伝(「本伝」)』の脇役“キギス”にピッタリではないか。
映画本編と予告編で、主演の人が“抜刀”する時に「うりぁ〜」と大声を発していますが、
原作(劇画版とアニメ版)の主人公“カムイ”は“抜刀”する時に、決して「うりぁ〜」なんて変な声を発したりはしません。
この主演の人は、あの『侍ジャイアンツ』の“分身魔球”等を投げる主人公“番場蛮”に向いているとも思いました。
主演の方は他の主演映画『デトロイト・メタル・シティー』等で“ユーモアのある独特な主人公”を演じて高い評価を得ているそうですが、
主人公“カムイ”の様に“抜忍”の宿命を背負い、暗殺者の追求をかわしながら逃亡の旅を続けるという“陰のあるカッコイイ役”は、
残念ながら、彼には似合わないと思いました。無理やり主役にキャスティングされてしまったのであれば、気の毒にも思えますが、
映画の冒頭部分で紹介された原作者の“カムイ”原画と“イメージのギャップ”が余りにもあり過ぎると思いました。
この『カムイ外伝』の主人公“カムイ”の役だけは、あの“松田翔太”の様な最も“カムイ”に相応しい役者に演じていただきたかったと、
原作を鑑賞していて、つくづく思いました。
元々、『カムイ外伝〜スガルの島〜編』のエピソードは、1969年にTVアニメーションとして先行発表され、
後の1982年に、原作者の白土三平さん自身による劇画も青年誌で連載され、どちらも新旧ファンからの支持を得てきた作品である。
最初のTVアニメーションは、いわば原作者による青写真の様なもので、なかなか“大人の雰囲気”がある仕上がりとなっている。
そして、そのアニメ版を更に昇華させたものが、後の白土三平さん自身による劇画なのではないだろうか。
しかし、2009年に公開されたこの映画は“全くの別物”。
この映画は、同じエピソードを原作としているものの、何故か“変梃りん”に脚色されてしまっているので、幾ら俳優が良い演技をした処で、
元のストーリーで大事なシーンが抜けていたり (“馬の白い足に魚が群がっている”シーンが大切!。カムイにとって幸運な“亀”も。)、
変更されていたり(半兵衛がカムイを“海に突き落とす”等“運命の悪戯”を無視。)、要らないシーンまでも付け加えられたりしているので、
ストーリーが分かり難く、宣伝文句の「生き抜け!」というテーマ自体も全く理解出来ませんでした。
(「生き抜け!」と命令の様にではなく、原作にあるテーマは「“自由”」。カムイ自身で“自由”を求め“生きねばならない”のだ! )
また、更にどういう訳か、忍者のアクションや、海(特に色合い)、鳥、鮫、等の自然描写のCG動作に違和感があり過ぎる。
映画全体に、原作にはある“大人の雰囲気”もありませんでした。
故に、原作のアニメと劇画にはある“厳粛かつ壮大で素晴しい世界観”のほとんどが、ものの見事に“台無し”となっています。
これでは原作者の白土三平さん及びアニメを制作された当時のスタッフの方々が本当に“気の毒”です。
多分、白土さんの劇画とアニメを観ていない方達は、(話が理解出来ず)もっと“困惑”されることでしょう。
原作を知らずに実写映画を観て、“カムイ”が“自己中(自己中心的)”な人物に映って見えてしまい、
主人公“カムイ”に“嫌悪感”を抱いてしまったという方も実際におられたそうです。
つまり、『カムイ外伝〜スガルの島〜編』の実写映画化は、所詮は“無理”であったということです。
白土三平さんの劇画とアニメを鑑賞することで“十分”です。今回の実写映画化は『カムイ外伝』のファンにしてみれば“ありがた迷惑”でした。
これじゃぁ、(運悪く)この実写映画で初めて『カムイ外伝』のエピソードに触れられた方達に、(この実写版映画と同様に)
「原作のアニメや劇画も、さぞかし“ツマラナイ”んだろうなぁ。」と思われてしまうではないか!・・・という気がしてなりません。
プロが大勢で、こんな“変な映画”作るんじゃないよ、全く!・・・という思いです。
話を分かり難くされてしまった上、正に“キギス”や“番場蛮”役が相応しい人に“カムイ”をやらせて如何しようというのか?・・・という思いです。
(常識では全く理解不能です。)
今回の映画製作をされた方達には、もう『カムイ外伝』や『カムイ伝』から手を引いていただきたいと切に願う。
これ以上の“汚点”を残すことは、映画製作サイドにとっても、原作サイドにとっても、お互いに良くないことですから。
もったいないの一言
★★☆☆☆
松ケンファンなので劇場で見たのですが、アクションシーンの作り方がひどすぎて残念。
松山君の台詞が少なく、演技は走りや睨みなどですごく見せてくれましたが、それでももったいないの一言。
伊藤英明や佐藤浩一や小雪など、主役級のスターを使いすぎだし、その挙句出来上がりがこの程度では俳優がかわいそうです。
時代劇としてもいまいち時代背景とか説明不足で、よくわからない話でした。
松ケンのためにDVDは買いますが、映画って制作費や俳優だけで決まるものではないのですね。
本当にもったいない映画です。