著者の職歴を反映して、本書に登場する債務者も無理なショッピングクレジットを組んでしまった人が多い。そして様々なケースを紹介する中で信販会社の営業実態への批判が述べられている。この部分が本書のもう一つの特長だ。信販会社の個品あっせん業務は、高度成長期に耐久消費財を求める庶民のニーズに応える形で発展してきたが、個品あっせん業務が現代社会でどのような役割を果たしているのか、外部からはなかなかその実態が把握しにくい。著者は債権回収に携わっていたのでネガティブな面に眼が行きがちという面はあるかも知れないが、本書は現代における信販会社の存在意義について考えさせる本にもなっている。
気がついたら、債務者…!!?
から、
やっぱりなった、多重債務者。
というような、ヒトまで。
幾つかの実例を挙げ、その後が描かれ、それが後味を良くも悪くもさせる。
平成不況になり、誰もが関わるかもしれない信販系。
まさか自分が多重債務者になるなんて。
そんな声は自分にも当て嵌まるかと思うとゾッとする一冊かもしれません。
そこには金融業界の裏側を熟知し、金に翻弄される人間を多く見てきた著者の強烈なメッセージが読み取れる。破産しないためにはどうするべきか。仮に破産してもどのように生き抜くべきか。豊富な事例で考えさせる。
破産の危機にある人はもとより、単にクレジットカードを使う人、とりわけ社会に出てまもない、若い人におすすめしたい本である。