早く第5巻が読みたい!!
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名古屋市熱田区の地下鉄伝馬町駅すぐそばに、『家康幽閉の地』となった加藤邸(本書の中では
羽城、祖先は頼朝側近の加藤景廉)があります。戸田正直の謀略によって、今川に送られるはず
の竹千代は織田方に売られ、この地で人質となるのです。後に天下を獲った家康は、この出来事
をなぜか恨みもせず、むしろ好意を持っていたかの如く、戸田家は『徳川幕政下七不思議のひと
つ』として繁栄していきます。それに引き換え、今川への道中、竹千代に便宜を図った鵜殿長照
は、三河一向一揆鎮圧後、真っ先に抹殺されるのです。長照はまさかこのかわいらしい稚児に、
自分が殺されるとは夢にも思わなかったことでしょう。「後のことをいえば」の枕詞で、このよ
うな歴史の不思議さを随所で教えてくれるのが、この本の最大の魅力です。
さて、この時代、松平諸家をはじめ、後の徳川四天王酒井・本多家も、奥平(後に家康長女を嫁
とする)、本書の主人公菅沼、牧野、水野(家康実母の実家)、吉良といった諸豪族も、今川方
だ、織田方だと一族内で内紛を繰り返します。さらに、今川義元没後の三河一向一揆で、『もう
やめてくれ!!』と叫びたくなるほどの親兄弟、義理の親子・兄弟間での決定的な内部対立にか
ろうじて勝利した家康は、これらの有力諸豪族を束ねてゆくのです。
余談ですが、三河一向一揆で家康と激しく戦ったのが本證寺で、名鉄西尾線碧海桜井駅から3キ
ロのところにあり、城郭のようなお寺に驚きますよ。春になったらウォーキングにお勧めです。