タイトルと中身が違う
★☆☆☆☆
「自分を生ききる」、ガンが再発転移した私にはぴったりの本と思われた。藁にもすがる思いで大きな期待を持って読み進んだ。しかし、読んでも読んでも「自分を生ききる」ことに関係のある文は出てこない。生ききるヒントすら見当たらない。騙されたと思った。本の著者は本のタイトルにも責任を持つべきである。この本を買ってお金も時間も損をした。
どの章も同じ内容
★★★★☆
日本人の2人に1人が癌で死ぬ時代が間もなくやってくる。癌は加齢現象だから、それだけ日本人は長生きということ。人は必ず死ぬのに、いつまでも元気なのが当たり前だという、勘違いな死生観を持った人だらけである。医療者も然り。
欧米では、癌患者の6割が、標準治療として放射線治療を受けるが、日本では3割で、遅れている。手術のよい適応であった胃がんは、冷蔵庫の普及により激減した。今後は痛くないし機能や美容を損なわない放射線治療の時代が間違いなくやってくる。手術と同等の成績の癌も多い。しかし日本の放射線治療医は450人しかおらず、あまりにも足りなすぎる。
癌は再発した場合、基本的に治癒はあり得ないため、世間の癌治療は、成績を争うあまり初期治療にしか力を入れていない。本来医療的ケアが必要なのは、より苦しみの多いそちらの人々のはず。放射線治療は、そうした末期な人々にも疼痛緩和などの観点で役立つ。
私は死ぬときは、癌で死にたい。人に見せられないものを処分する時間的猶予があるから。
・・・ということが、各章で繰り返し述べられている。つまり、何が言いたいかというと、好きな章をひとつだけ読めば効率がいい。
病気になれば人生が変わる
★★★★★
著者や養老先生がおっしゃるように、私たちは病気というものに対して受け身の姿勢が強すぎるのではないかと感じました。受け身・・・すなわち運命のような受け取り方であって、こうして受け取ること事態、すでに自分の人生に責任を感じる「生命力」の欠如の表れなのではないでしょうか。
本書に述べられている「自分」の捉えかた、インフォームドコンセントの活用の仕方、がん告知の受け止め方・・・人間は一様ではないと思いますが、しっかり命に刻み込むように勉強させてもらいました。
こうした環境・健康に関わる勉強をしておりますので、よく「がん宣告」を受けた方からご相談を承ることがあります。大抵「手術ができないから抗がん剤」治療を勧められていらっしゃるのですが、実際放射線治療のできる医師が少なく、機械の導入も思うようにはかどっていないというのが現実のようですね。
素晴らしい本と出合わせていただき、感謝しております。
私は脊髄小脳変性症と診断され、著者が述べるように「残された人生を自分らしく有効に」生きる毎日を与えられたと思っています。この病気は余命を告知されるものではありませんが、不自由な体で余生を送るという厳しさがあります。おかげさまで人生観がコロッと変わり、現在の人生が与えられたことを感謝しているほどです。
あまり長生きもできないのでしょうが、「がんで死ぬ」のも悪くないと思います。抗がん剤のように痛みや苦しみがないのであれば、有力な選択肢だと思います。なにしろ2人に1人はがんで死ぬ時代なのですから、治療を選び、生き方を選ぶときが来たのではないかと感じました。
人生の哲学書
★★★★★
たいへん読みやすく書かれており、通読するのも容易です。一般の人が読んでも、興味を引く内容だと思いますが、とりわけ、癌患者であるなら一読しておくと、プラス思考で人生を過ごせると思います。著者の中川氏は癌に対する放射線治療のドラマの監修をされているようです。「季節が変わる時」というタイトルです。
わかりやすく、かつ、深みのある「死生観」の本
★★★★★
癌・死という重いテーマですが、それに自らが潰されることなく最後まで生きて行くことは勿論のこと、死に自分が直面していない(と思いこんでいる)今を充実して生きて行くことまでも教えてくれる本です。お二人ともウィットに富んだ表現を用いながらわかりやすく語っており、とても読みやすいところも良かったです。