ノーベル賞をとった「光るクラゲ」の光ることの解説ではある
★★★★☆
光る生物と言うものへの興味、そのメカニズム、そしてそれから派生した多くの応用技術と、現在社会への影響を極めてコンパクトに分かりやすくまとめている。まさに、下村先生の受賞をきっかけにタイムリーな企画と言えるだろう。
また、その中身を、現在現役の若手の諸君が執筆しているのも頼もしい。先端の生物医学の知識が多少なくとも楽しく理解でき、多くの人たちに薦められる好著である。
但し、その表題「光るクラゲがノーベル賞をとった理由」とは若干異なっている。むしろ副題の「蛍光タンパク質GFPの発見物語」の方が近いと思われる。
この発見と利用が我々人類の今に多くの寄与をしてくれていることはわかるし、まさにノーベル賞に値すると思っているが、本書で「ノーベル賞をとった理由」が論理的に語られているわけではない。
その点で、☆1コ減じたものである。
良くまとめている
★★★★★
多くの若手研究者(大学院生)が短期間にまとめた由。纏め役が良いせいか門外漢にもわかり易い様に記述されている。化学分野に関係している者にとっても成る程と思われる記述上の工夫が多々見られる。
多くの関係者が適当に担当したキワモノかと思ったら、とても良くまとまった力作でした。
若い研究者の今後の活躍に期待したい。本の表題はいかにもキワモノ的印象が強く、損をしている。
ストレートなタイトル通り!その「理由」が丁寧に解説されている
★★★★★
● 本書は、大学院生を中心とする若手グループの分担執筆により、ノーベル賞受賞のニュースに合わせて大急ぎで書き上げられたものである。悪くするとヒドい本が出来てしまう条件が揃っているわけだが、本書に限ってその心配は無用だ。
● ノーベル賞以降の著作なので、集めるべき情報は手近な所にあふれていたであろう。しかし、どの章にも、マスメディアで繰り返されて手垢のついたエピソードや文章表現を安易に採用せずに独自の情報収集と表現の工夫にこだわった跡が見られ、オリジナリティーが高くバランスの良い本に仕上がっている。執筆グループの若い熱意を評価したい。
● ただし、GFPが「なぜここまで浸透したのかという理由(P123)」のうち最も重要な点のひとつ「自己触媒作用によるアミノ酸同士の環化により蛍光クロモフォアが形成すること」にほとんど言及されていないのは、唯一の心残りであった。