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The Lexus and the Olive Tree: Understanding Globalization

価格: ¥2,481
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Anchor
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1992年某日、トマス・フリードマンは日本にあるトヨタ・レクサスの工場を見学し、ロボットが高級車を組み立てる光景に目を見張った。そしてその晩、新幹線の中で寿司をつまみながら、中東パレスチナ・イスラエル間で新たな戦闘の火花散る、という記事を読み、がく然とするのだった。世界の半分がレクサスのような高級車に向かって、少なくともレクサスを完成させるほど輝かしい技術に向かって邁進(まいしん)する一方、もう半分の世界では、どちらがオリーブの木の所有者かを巡って争っているとは…。
フリードマンは、ニューヨーク・タイムズ紙で外交問題を扱う、旅の経験も豊かなコラムニスト。本書ではスパイスのきいた語り口で、メインテーマを例証する話をつづっていく。多くの個人や国家が昔から大切にしてきたもの(オリーブの木)を手離すまいと抵抗しても、実はグローバリゼーション(レクサス)こそが冷戦後の世界をつかさどる主原則である、というのがこの作品のテーマである。
問題はこのグローバリゼーションの真の意味を理解している者がほとんどいないことだ。フリードマンが言うように、一見するとその概念は、アメリカへの覇権集中化、つまり、世界を隅々までディズニー化すること、に尽きるようだ。だがありがたいことに、国際関係やグローバル・マーケット、それに国家権力に関わりをもつビル・ゲイツやオサマ・ビン・ラデンといった個人の力の台頭が絡み、それほどすんなりとはいかないのが現実である。
グローバリゼーションによって世界がこれからどのように変わっていくのかを知る者などいない。だが本書は、ときには雄々しく、ときにはしかつめらしく見える新しい世界の全体像をつかむには、申し分のない1冊である。
ビジネス英語の勉強にはなります ★★☆☆☆
本書を読んだ後で通訳試験(内容は流通関係)を受けたら単語・表現がポンポン口をついて出てくれました。その点では『The World Is Flat』同様に役に立つ本です。ビジネス英語系の言語空間に慣れたいという方にはお薦めです。
アメリカの株式バブル崩壊前に執筆されたらしく、バブル期独特の底抜けの楽観主義や浮かれ気分、気が大きくなっている感じが漂ってきて興味深い(あるいはもともと明るい人なのか)。サブプライム問題なんてまだ影も形もなかったあの明るい時代…。CEOバブルの代表のような故ケン・レイ氏の唱えるお題目をそのまま引用してエンロンを褒め上げていたり、いま読むとご本人も決まりが悪かろうという箇所について喋々するのは気の毒なのか。しかしダーウィニズム的社会学が見え隠れし、おらが国はその頂点に立ったのだと他国を見下している感じがスゴイ。
グローバライゼーションはアメリカナイゼーションだということです。その流れは「歴史の必然」であり「進歩」であり、乗り遅れる人間は「亀」、反対する人間は現代版ラッダイト主義者だそう。それを検証する為に世界中を巡って個人的経験をかき集めてきます。友人、家族との逸話も動員します。統計より逸話を重視するあたりが著者の一般人気の秘密なんでしょうか。「マクドナルド現象」をはじめ、諸現象を説明するのにいちいち独自の造語を編み出していますが、余計ですね。ネーミングがイケていない(Golden Straitjacket、Electronic Herd、DOScapitalやらやら)。結局は自説の裏付けになりそうな逸話をとうとうと並べているだけで、グローバライゼーションの影の部分の分析は極力避けています。全く同じ手法でグローバライゼーションを徹頭徹尾悪魔化する本を書けると思いますよ。こういう本を読むとノーム・チョムスキーやナオミ・クラインを応援したくなるから面白いです。
911以前に書かれた牧歌的な本。批判的に読むと「一粒で2度おいしい」 ★★★★☆
著者はあくまでもコラムニストとして、体験談を場当たり的につなぎ合わせ、アメリカ人読者にとって心地よいレベルでグローバリゼーションについて述べているだけで、きちんとした本ではありません。

ですが、読み物としては面白いですし、冷戦後の世界体制を具体的に描写しているので勉強になる部分もあります。これが一番目のおいしい点。おもしろおかしく書いてあるので甘口です。

一方、著者は結局のところ盲目的なアメリカ至上主義者であり、グローバリゼーションを支持しているのは、アメリカが勝利しているからというだけです。著者は80年代のソ連の工業の自滅ぶりを見物人として描写していますが、同時期アメリカも同じ状態になっていたという事実には触れません。その時、アメリカの冷戦体制もソ連と同様な経過で部分的に壊滅しているのです。しかも悪いことにまだ残っている。グローバル化された経済の論理は、アメリカの抱える問題にも同様に適用されます。アメリカの未来も決して安泰ではなく、インドネシアやメキシコと同じ目に遭う可能性はかなり高い。そのような点に著者は触れません。

「世界中の人を一直線上に並べて序列をつけることが可能だ。もちろんアメリカ人は先頭だ」というおめでたい感覚が文章のすみずみに満ちていて忍び笑いを禁じえませんが、いや笑い事ではありません。2億5千万のアメリカ人のうち、グローバリゼーション時代を生き抜ける人が何人いるのか、脱落者はアメリカで何をしでかすのか。それが911以後のアメリカの未来を決めることになるのですから。

この本を読むと、アメリカの知識人の思考力の範囲がどの程度であり、しかも彼らと関わらずに生きていける時代ではないことについて深く考えることになります。これが2番目のおいしい点。苦いですけどね。

よく考えながら読むと、きっとためになると思います。

面白い!知的刺激たっぷり! ★★★★★
今という時代が何か、世界はどこに向かって動いていくのかを考える上で、とても重要な視座を提供するthought provokingな本。さすがニューヨークタイムズの代表的コラムニストの文章とだけあってぐいぐいと引き込まれて読んでしまう。各所にユーモアあふれる逸話、冗句がちりばめられているのも良い。僕は通勤の電車の中で読んでいたが、おかしくて、何度も吹き出してしまった。いかにもアメリカの知的リベラルが書いたglobalization賛歌、米国賛歌的なところが気にはなったが、でもやっぱり彼の指摘は正しい。globalizationによって世の中は物凄いスピードで動くようになった。著者が言うように、これからはfast worldに入れるかどうかが問題で、それに入れなかったらどんどん取り残されるばかりなのだが、日本社会は今や動脈硬化症状を呈している。かつて、米国にとって脅威だったのはソ連と中国の軍事力、日本の経済力だったのだが、これからはこれら3カ国の弱さ(日本の場合は経済的弱さ)が米国にとっての脅威になるとの指摘はとてもrealであり、衝撃的だった。

それにしても、globalizationの時代にあって、Lexusとオリーブの木という2つの価値観の対峙という構図は極めて的を射ている。僕の心の中でも両者がいつもせめぎ合っている。