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生命の未来

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川書店
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この本の要約 ★★★☆☆
この本の要約。


21世紀中に哺乳動物の4分の1、鳥類種の8分の1が絶滅する見込みである。年間の絶滅率で試算すると最悪の場合、全ての生命の品種の1000分の1〜100分の1種が絶滅する。

人類はオーストラリアに到達する6万年前、この大陸には体長7メートルもあるオオトカゲ、体重が100キロもある飛べない鳥、小型自動車くらいの大きさの亀が存在した。また、南米には人間ほどの大きさのナマケモノがいた。


ブラックバスが日本の輸入されて約80年経つが、ブラックバスが原因で絶滅して日本の在来種は1つもいない。むしろ、フィッシングによる多大な経済効果を生んでいる。ブラックバス以外にも、ブルーギル、ニジマス、カワマス、オオタナゴなどが大量に海外から輸入されて日本中に広まったが、絶滅した日本の在来種はほとんどいない。


最も日本的な木の1つとされる梅の木は、約1100年ほど前に海外から移入された外来種である。また、イチョウも、1000年ほど前に日本に移入された外来種である。さらに、コスモスの花もメキシコ原産で、東京美術学校の教師が1879年にイタリアから持ち返った種が日本中に広まったのである。
かなり偏向した書である ★★☆☆☆
生物学者のなかで進化論の権威と言えば、動物行動学専門家の理論派R.ドーキンス、古生物学専門家の一流コラムニストS.J.グールド、そして本書の著者の社会生物学専門家のエコロジストE.O.ウィルソンが三本柱である。前2者の著作はいくつか読んだことがあるが、ウィルソンについては読んだことがないので本書を手始めに読んでみた次第である。

内容は、「生物多様性の維持が地球環境を救う」という主張に尽きる。なぜか、本書の最後にあるにもかかわらず本書に批判的な「解説」として寄稿する池田清彦氏が指摘するとおり、「ウィルソンの論調は生物多様性至上主義とでも言うべきもの」で「はっきり言って生物多様性を守る絶対的な根拠は存在しない」に、読後感として個人的には同感である。

エコな人にとっては、「現在のテクノロジーで世界中の人が、現在のアメリカの消費水準に達するには、地球があと四つ必要」とか、「人類を救うには、普遍的な環境倫理しかない」とかいう言葉が、とても耳に心地よいのかもしれない。しかしながら、生物多様性至上主義に近い、地球温暖化防止至上主義の主張することには、まだ確かめられていない「神話」を心底信じ切っている単なる輩として、辟易とされてしまう経験が多い。

科学的な実証を踏まえた現実を直視することこそが、真の地球温暖化防止策となる訳で、生物多様性確保も同じようなことが言えるのではないかと思う。本書の表紙裏面の概要紹介では、「人類必読の書」らしいが、そうとはとても思えない。逆に、かなり偏向した書であることは確かである。
科学的根拠に裏付けられ、かつ実効性のある提言 ★★★★★
主要学問分野を横断できるだけの幅広い知見と、
それらを統合できるだけの頭脳を持った著者ならではの本です。

自然科学を駆使して生命多様性の重要性を立証してみせ、
かつ経済活動の現実を踏まえて実効性のある解決策を提示しています。

このテーマについては、
とかく自然と経済の表層的・短絡的・イデオロギー的な二元論での不毛な論争が目立ちますが、
本書で科学をフルに活用することによって解決の道筋を見せてくれたことで、
より適切な問題解決へと進むことができるのではないかと思わされました。

なお、本書には「解説」が挿入されていますが、揚げ足取りに終始しており解説になっていません。
無視することをお薦めします。

環境問題のふたつのジレンマを斬る。 ★★★★☆
 生物多様性主義の急先鋒エドワード・O・ウィルソンが、生命の未来を憂う。
 著者はまったくの理想主義者かといったらそうじゃない。例えば安全性が保証されれば遺伝子組み換え技術の利用もいとわないこと。財力のあるNGOによって原生林の土地を競売で購入すること。こうした現実的視点に立った提案もある。

 環境問題を話すときには、以下のようなふたつの根本的ジレンマがあると思う。この本ではその答が示唆されている。

 ひとつは「環境か経済か」といったプライオリティ選択のジレンマについて。つまり「地球の遠い将来を見据える」といった長い目か、「今日明日の利益を追求する」という短い目かの問題だ。
 著者が言うには、地球環境を保全することは結果的に経済も潤すことになる。たとえば、生物多様性からベネフィットとなる資源を求めようとするバイオプロスペクティング。米国の国立公園で好熱菌が発見されて莫大な経済的利益がもたらされたらしいが、それも生物多様性が保たれているおかげだ。

 もうひとつのジレンマは、生物が1種や2種絶滅したからといって、大勢には影響ないじゃないかという論だ。自分が選挙で投票したって当選者がかわるわけじゃないという感覚と似たものかも。
 ところが、現実は1種や2種絶滅するどころの話ではないという。「レッドリスト」をもとに計算すれば、21世紀中に哺乳動物の4分の1、鳥類種の8分の1が絶滅する見込みだ。年間の絶滅率でシミュレーションすると最悪の場合1000分の1~100分の1種が絶滅するという。ここまで数字が跳ね上がると、「種の絶滅のひとつやふたつ」といった話ももはや成り立たなくなってくる。

 こんな話をしたところで、ジョージWブッシュライクな人びとは、依然として聞く耳を持たないかもしれない。けれど、環境問題は「なんとなく」関心を持っている人がほとんど(20対80の法則がここでも成り立つ)。そうした「なんとなく」関心を持っている人たちを取り込んで世論をつくっていくためには、やっぱりこうした本の存在を知らしめて、じっくりと読んでもらうことも重要だと思う。

主張もわかるが人間も系の一部では ★★★★☆
 著者の環境に対する思いが痛いほど伝わってくる本。たしかに、言っていることもわかるし、その思いに共感もできる。だが、著者のとなえる対策がすべて実現できたとして何がどうなるのだろう。この本を読む限り、著者の望みは、現存するすべての種を保護することにあるようだ。そこにどのような意味があるかをもっとわかりやすく主張できないと、この本はその価値がない。

 宇宙に、太陽に、そして地球にも寿命がある。種の寿命などそれらに比べれば瞬きのようなものだ。滅びない種はない。まあ、確かに恐竜などと比べれば、人間の歴史は短すぎてまだまだ滅びるには忍びない。しかし、何でも闇雲に保護すれば状態がよくなるとも思えない。保護すべきとする種の選択も主観的だ。それに現状は結構うまくいってるのではないか? どのみち地球環境が変動する頃までは種は存在し得ない。この本のような提言が、今後数百年にわたって続く頃が人類の絶頂期かもしれない。なにも現状の種にとって優しい環境が地球にとって優しい環境だというのは独りよがりだ。生命はヒトの存在し得ない環境で発生したのだ。とにかく、あと数百年の間に我々にはもっと知恵がつくのだろうか? 星は4つ。