鋭い問題提起にあふれた良書だと思います。
★★★★★
ごみは燃やしても埋めても地球のためにはならない。
多くの人がこの事実に気づいてはいても、では具体的に何が出来るのか。
たとえばドイツは集めたごみを徹底して分別し、最後の最後、どうしようもないもののみを焼却しています。
日本でも「燃やさないごみ処理」に取り組む自治体も現れ始めました。が、まだ少数です。多くの自治体では、既存の仕組みに縛られ、脱焼却に踏み出せずにいます。
増え続ける埋め立てごみにより、埋め立て処分場が悲鳴を上げ、その対策としてプラスチックの焼却という方法がもてはやされていますが、これは地球温暖化を引き起こすCO2も排出する、長い目で見れば決して地球環境のためにならない方法です。
著者は地域で長年にわたりごみ問題に取り組んできた経験から、真に地球環境にやさしいごみ処理とは何かを、豊富な検証データとともに私たちに示してくれました。
脱焼却社会への第一歩は、ひとりひとりがごみとの付き合い方を見つめ直すところから始まります。
未来に責任を持つ視点から書かれた優れた一冊だと思います。
学生の方も、地域で環境に取り組もうと考える方も、これまで何気なくごみを捨てるだけだった方も、ぜひお手に取っていただければと思います。