ドイツ現代史
★★★★☆
山川出版の世界現代史シリーズのドイツ版。
書かれたのが1987年なので、本書ではドイツ民主共和国(東独)には
別の章が割かれて、執筆されている。資料の問題から、同時代のドイ
ツ連邦共和国(西独)の記述に比べると、内容が薄くなっている。
「欧州の平和を考えるとき、強国ドイツの再現は必ずしも望ましい選
択ではない。仮のものとして出発した東独国家の存在は、今日国際的
要請となっている。しかし、自由な東独国民の不在は統一への衝動を
うみだす恐れなしとしない。今日ほど国民造りの完成が待たれている
日はないといえよう」(p.373)
現実の歴史は、この記述とは正反対の方向へ進んでしまったが、当時
のドイツに対する国際的な意識をよく反映しているのだろう。