【ものづくり＋デジタルサービスの勝者をめざすＧＥ史上最大の改革とは？
「ナンバー１／２戦略」「９ブロック」も過去のものに】

　巨大産業・インフラコングロマリットであるＧＥ（ゼネラル・エレクトリック）の創業は、124年前にさかのぼります。ご存じの方も多いでしょうが、ルーツは発明王トーマス・エジソンが創業した会社です。同社９人目のトップであるジェフリー・イメルト会長兼ＣＥＯが手がける、同グループ史上最大ともいわれる大変革の概要と、それが現場でどのように実施されているのかをまとめたのが本書です。
　ＧＥといえば、2015年度の業績は売上高1174億ドル、純利益は17億ドルにのぼる超巨大コングロマリットとして知られてきましたが、直近では産業・インフラ部門への集中を掲げ、家電事業の売却や、個人向け金融事業の分離、フランスの重電大手アルストムの買収といった大型Ｍ＆Ａでも注目されました。また「ダウ平均（ダウ・ジョーンズ工業平均株価）」が1896年にうまれて以来、算出対象に採用されつづけている唯一の会社として、またＯＢがボーイングや３Ｍのトップに就くなど世界的な人材輩出企業としても広く知られています。
　そんな同社では現在、従来の産業・インフラ事業にデジタルソリューションを付加できるＩｏＴ時代の勝者をめざした大改革を進めています。「デジタル・インダストリアル・カンパニー」をめざし変化をいとわず成長をとりこむ大胆な事業戦略や、それを実現するための組織文化の変革について、コーポレートオフィサー（本社役員）も兼務するＧＥジャパンの熊谷昭彦社長兼ＣＥＯが余すところなく紹介します。“現場”として変革を実践する日本法人の戦略や、そのトップとしての自身の考え方も含めて語られることで、同グループの強さと機動力をあらためて知ることができます。
　“変わり続ける経営”“勝つ経営”としてＧＥは多くのケーススタディでも取り上げられ広く知られています。しかし、前任のウェルチ時代とイメルト時代を半々で経験した熊谷社長兼ＣＥＯにとっても、直近の数年には「32年在籍していて経験したことのないほど大きな変化」とか。この不確実な現代において、製造業のみならず、また企業規模の大小にかかわらず、日本企業が今後の競争力強化を考えるうえで示唆を得るきっかけとしていただける一冊です。