米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ
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アメリカの国際政治学の権威が、米中衝突の可能性を論じる1冊。
過去500年間で、新興国が支配的な大国を押しのけようとして生じた構造的ストレス(トゥキュディデス*の罠)にはまった16のケースのうち、戦争に至った12の例を分析しながら、今後の米中関係をうらなう内容であり、日本にとっても示唆に富んでいます。
本書から得るべき示唆を深めたり、さらに波及して考えるべき課題等について考えるうえでは、米中双方に詳しい元朝日新聞主幹で日本再建イニシアティブ理事長の船橋洋一氏による日本語版序文が必読です。
*トゥキュディデス:古代ギリシアの歴史家(紀元前460年頃~400年頃)。スパルタとアテネが争ったプロポネソス戦争(紀元前431~404年)を分析した著書『歴史』は、現代においても国際政治学の基本書とされ、戦争が勃発する3要因として「利益」「名誉」「恐怖」を挙げている。富の追求、名誉への欲望、そして恐怖から逃れようとする行為が、人々を戦争へと駆り立てるというのだ。過去にも米歴史家ドナルド・ケーガンや英歴史家マイケル・ハワードなど多くの研究者がトゥキュディデスの3要素を援用してきたが、アリソンはその3要素のなかでも「恐怖」に注目。①急速に台頭する国家、②それを恐れる支配国、③それぞれが有する同盟関係のもつれ、が戦争を導く可能性が高いと論じ、「トゥキュディデスの罠」と命名。特に弱腰外交と批判されたオバマ政権時代以降、よく聞かれるワーディングである。西暦1500年以降、大国間の関係が緊張した16例のうち12例で台頭国と支配国の戦争が勃発しているとして、戦争に至る条件を分析している。