題名及びあらすじに騙されるな!こいつは純情派ロック漫画である!
★★★★★
著者の「東京赤ずきん」を読んで、この本にたどり着きました。
SM・セックス描写もあるのですが、「表現がいやらしくないな」と感じました。著者の真摯な気持ちが伝わってくる気がします。SEX描写が好きじゃない人でもこの作品は嫌いにならないと思います。
とりあえず、”あらすじ”には騙されました。実際に読む前は「不思議ちゃん同士のカップルが恋人になりきれず、SMクラブという非日常な環境が障害となり、ぎりぎりで恋人の演技を続ける」というようなストーリーを想定していたのですが、いい意味で普通だと思います。恋愛について、今まで読んだ漫画のなかで一番共感できた気がします。「本当の恋人」をつくることの難しさといいますか・・・淡い感じです。でも意外や意外、物語の終わりはかなり素直なハッピーエンドだと思います。これは結構望ましい恋愛街道ですよ。読んだ後、感想を誰かに話したくなる漫画です。そのような意味で、「東京赤ずきん」とは一線を画す作品。
主人公のギターがちゃんと描かれているところに感動。「ゲフィンレコード」など90年代カルチャーのコネタがさらりとちりばめられている。大人版BECK、あるいは絵柄のカッコいい「アイデン&ティティ」かな・・・嘘です。でも、素敵な漫画だと思います。この漫画が出版されて10年、もっと早くこの漫画に出会いたかったです。