その何気なさに
★★★★☆
音(音楽)に対する感想または表現として"肌触り"という形容をするのはおかしな話ですが、もしそれを承知で例えるとすれば、T.キャリアー(vo)の本作('72年作)のそれは"決して卸し立てではないが、その飾り気の無さが愛着となる木綿のような"(等と、ちょっと気取った言い方ですが)と言えるかも知れません。
確かにニュー・ソウルとして捉える事に間違いはないでしょう。しかし、その楽曲スタイルは(言い意味で)ニュー・ソウルというイメージから得られるものとは少し異なるかも知れません。フォーキーでもあり、ブルージーでもあり、決して派手さとは無縁の対極にいるようでありながらも、惹き付ける事を止まないその声の響き。
オケージョナル・レインという何気ないタイトル、その何気なさに見逃しがちな様々なシーンが含まれている、、、何とも沁みます。