人気シリーズの完結編
★★★★★
シリーズ最終巻は、井筒屋をめぐり、余一とお糸の周辺の人物たちが画策し交渉する場面が続く。余一の子を宿したお糸は、出産の準備、余一も仕事が忙しく、この二人はなかなか出てこない。井筒屋の江戸店閉店に伴う人の動き。唐橋の最後の花魁道中の打掛を、唐橋の後輩である玉菊の部屋の暖簾に仕立て直すエピソードから「人の幸せとは」というテーマに立ち返り、余一とお糸が、最終章で見事に感動の結末を迎える。生まれた子の名前が見事。十五年後のこの人々の物語を読みたいと願うのは私だけではないだろう。祝完結。乞続編。