主に少年少女たちが主人公の短編集です。
思春期ならではのみずみずしい感性が見事に表現されていて、読んでいるととても清新な気持ちになれます。

また、すっきりして透明感のある画風は、よしづきくみちさんの最大の魅力だと思います。まさに可憐な少女を描くために生まれてきたような、天才的画力を持つ作家さんです。

「魔法遣いに大切なこと」シリーズでは、原作の芯のあるストーリー構成にも恵まれて本領を余すところなく発揮し、好評を博しましたが、よしづきさん自身の感性から紡ぎだされるストーリーたちも素晴らしく、何度もうならせられる説得力と発見に満ちています。

これから最も注目したい作家さんの一人です。

原作も絵もよしづきさんの単行本は２冊目。
前作と同じくＳＦ風味の作品が載っています。タイムトラベルして過去の謎を解く話は、ミステリー要素があって、読み物としてすごく面白い。勿論他の作品も良い。前作と同じく、切ない作品が多くありました。
短編集を２冊読んで思ったのは、よしづきさんは短編を描くのが本当に上手い。
少ないページ数なのに、どの作品にも起承転結があり、しかも面白い。
今後の活躍にも期待ですね。

主に原作付きの作品の作画を担当してきた著者による2冊目のオリジナル短編集。
1冊目の短編集である「はじまりのはこ」とは出版社も異なり、直接の関連はありません。
収録作品も、1冊目のそれよりも新しいものもあれば古いものもありますが、
どれも2005年以降の作品で、一定水準を保っているようにみえます。

商業誌掲載作2編・同人誌掲載作4編に加え、
各作品へのコメント・あとがき・9pにわたるカラーイラストも収録されており、
満足度は高いのではないでしょうか。
どうしても作画が注目されがちな著者ですが、そのシナリオにも味があります。
著者自身あとがきでおっしゃっている通り、「よしづき」色のみで作られたものは短編集だけです。
まだ原作付の作品しか読んだことのない人にもぜひ手にとってほしいと思います。

■収録作品は以下の通り
「君と僕のアシアト」（Oh SUPER JUMP掲載）
「け・ん・か」（ヤングアニマルあいらんど掲載）
「彼女のせかい」（同人誌ひまなつ掲載）
「about me」（同人誌about me掲載）
「てのひら」「なつみ」（同人誌てのひら掲載）