この作品は今のところ、日常的な風景が、少しずつバランスを失っていく様が描かれている。
ただ、淡々と。
それは、あまりにも不可解すぎて、「現実と非現実」どちら側に属しているのか、判断がつかない。
混乱する。
この作品は、どこへ向かっているのか?
続刊を最も待ち望む作品の一つである。
同人漫画と異なり、一般大衆を相手とする漫画はいわば規格品であり、良くも悪くも一定の「品質」を要求される。内容別にカテゴライズされ、仕分けされて「よりお求め安く」なる。
この漫画はそのカテゴリーのどれにも入らない。
ホラーだと思う人は多いかもしれないが、少なくとも作者はホラーだと考えていないと思う。ホラー的な演出がなされていないからである。
大体、血も死体も出ない。かわりに古靴とかタイヤとかリンゴとさんまとかが出る。だから主人公の表情も「恐怖」よりも「困惑」の方が強い。
つまり、この作品にホラーであれ、シュールであれ、何かそういうカテゴライズできるものを期待して読むと、期待はずれということになると思う。
だから星4つ。
しかしこれはこの作品のレベルが低いことを意味するのではない。
カテゴライズを拒否することを作品自体のテーマとしているためである。
日常というカテゴライズに対して、存在そのもので対抗することがこの作品のテーマである。
何らの先入観なしで作品を読めばそれは簡単にわかるはずである。日用品で作られる日常にあり得ないオブジェが次々と登場するのだから。
だから、自分が先入観を持っていないと自信がある人にはお勧めできるが、そうでない人はちょっとやめといた方がいいと思う。
やっぱり星4つ。