フィッシュ・イン・ザ・シー
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映画の宣伝マンとして気ままに暮らしていたオープンリーゲイの三十男・鯨井兆は
靴職人を目指す青年・野崎史丸と出会い、いつしかのめり込んでしまう。
「もし、俺らが魚だったとしたら。俺は水槽の中の魚で、鯨井さんは海の魚っすね──」
初めて味わう類の痛み。そこに後悔と悪感情が入り混じり始める中、最低としか思えぬ出来事が訪れて……。
“──もし俺が水槽でなく海洋に属しているのだとして、俺は決して何かを目指して泳ぎ進んでいるわけではない。
実際のところ、それはほとんど漂流でしかない──。”
大人になり切れない大人が抱える、みっともないぐらいの執心と孤独。
《嫉妬》を軸に描いた、約42000字の書き下ろし短編。
(2018年2月書き下ろし)