精神分析ミーツ実証主義
★★★★★
フロイトの愛娘アンナ・フロイトの直系、
言うなれば正統フロイディアン伝承者
ピーター・フォナギー。
この人のやっていることは、一言でいうと、
「なんとか精神分析を実証科学に結び付けられないか」
ということに尽きる。
本書は、臨床的な精神分析理論と実証的な愛着理論の共通点を探り出したもの。
主な精神分析の理論を総ざらいして、愛着理論との共通点と相違点を整理し、
最後に精神分析理論と愛着理論を統合させたフォナギー独自の理論である、
メンタライゼーション・モデルを提唱して、
この本は終わる。
他にもフォナギーは、愛着の世代間伝達の研究をやってみたり、
精神分析の効果であるところの「内省力の増大」
を「リフレクティブ機能尺度」で測れるようにしたりだの、
涙ぐましい努力をしている。
どんな努力だって?
精神分析が現代科学から取り残されて置いてきぼりにされないように
するための、必死の努力です。
この努力を我が国の精神分析家たちにも見習ってほしい。
まじそう思う。
そうしないと生き残れんよ、日本で精神分析は。