地球環境のやさしい教科書
★★★★★
本書は環境庁国立環境研究所出身の3名の共著者が分担執筆されたものであり、
そのためもあってか、エコに対する正しい活動は政策寄りですが偏りが少なく、
無闇に不安を煽るでもなく、逆にこれさえあれば問題解決といった風情の奇抜な
アイデアも盛り込まれていません。科学的に解明するという基本にあくまで忠実な
立場で書かれた本だと思います。
内容はまず最初に環境問題の発生メカニズムについての基本を説明した後に
個別課題として、エネルギー・資源の話、地球温暖化、自然環境の改変と汚染、
生物多様性、都市化について述べ、終章で環境をよくするための行動について、
公共財ともいえる環境は科学的に自然のメカニズムを解き、変化を予測することで
正しい行動が導かれるといった方向で結論付けています。
地球環境という広範なテーマを一つの話題に絞ることなく、章毎にばらつきは
あるものの、全章を通して背景から丁寧に解説してあるので読みやすく、特に、
4章「自然環境の改変と汚染」と5章「自然環境と生物多様性」は実データも
充実しており、よくまとまっていると思います。
イラストは分かりやすいものが使われていますが、本文中ではイラストの参照を
アナウンスしないので活用しづらい面があり、自身がイラストの内容を先に
把握しておき読み進めるのが良いのではないかと思います。