大日本絵画より、待望の「メッサーシュミットBf109―デジタル解析カラー側面図集 (デジタルプロファイルシリーズ)」が出ました。
　かつて国内でも同工異曲のプロファイル本がありましたが、どうも海外のクラエス・サンディンやトマス・タリスのプロファイルをただコピペしただけのような気がして、信用も出来ないし、役に立ちませんでした。　本書はその点、もともとルフトヴァッフェに造詣の深い西川さんのイラストに、石塚さん、芦本さんといった市井の考証家が協力、国内外を通して現時点では最も考証の行き届いたプロファイル集になっていると思います。イラストの質もタリス、サンディンと双璧を成すあるいは凌駕すています。
　西川さんが国内のエビエーション・イラストレーターとちょっと違うのは、ご職業柄理系、工学系の発想法とスキルを持ってらっしゃること。航空機は工業製品なので、図面なども文系や美大出身者ですと感覚だけで描いて辻褄が合わないこともしばしばありますが、西川さんはリベットを描くにおいても簡単な数学的思考で計算して描いていたり、類推する場合でもいい加減では有りません。ある部分、やはり工学系の阿部孝一郎氏の描く図面と共通する部分が有るかもしれません。
　基本的には有名機が多いですが、それでも過去考証が行き届いていなかった、メルダース、ガランド、マルセイユ、グラーフなどについては最新考証が施されています。私が新鮮だったのは、JG.27のノイマン大尉やオットー・シュルツの上面サンドゲルブの一色迷彩機の機首が全面黄色ということ。JAGDWAFFE等の書物にはそういう解釈が既にあったのか、砂漠関係に疎い私は知りませんでしたが、マルセイユを含め面白みの無い塗りのJG.27では珍しくそそられる塗りです。