わかりやすいトヨタ式の解説/マインドまで一歩ふみこんだ仮説
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デンソーの工場で実践されたトヨタ式をもとに、わかりやすく工夫をこらして『超』トヨタ式とネーミングされている。厚い解説本が多いなかで、これくらいでトヨタ式のエッセンスをわかってくれたら良いのでは、との提案。
働く人たちの心の面まで、しっかりと目を向けての解説。テクニック面だけでなくマインドの面にもひかりをあてている所が印象的。
真の幸福を目指す、という大目標には、改善の終わりはない。これがトヨタマインドの一つなのだろう。
個性のひかる,トヨタ式の解説書。
現場つくりは,働く人の心のつながりが基本!
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元デンソー工場長が「トヨタ式」ものづくりのあり方を解説,この手の書籍の中では現場の現実に近い記述だったのではないか? トヨタのものづくりに関する書籍は多々あるが,どちらかというと実践 Know-How に特化しており,それを読むだけではなかなか実際の現場を改善するには到らない.本書ではなぜトヨタ式を実践できないかの理由も示唆している.実践に先立つ人間の人格形成,本書ではこれが仕事の「成果」と同期すべき「成長」として描かれている.「成果」と「成長」は両立すべき現場つくりの両輪とある.また,あとがき的記述にはチームとしてのときめき,やりがい,やすらぎ等,職場の人への磁場が重要だと力説している.成果を出すための心のマネージメントが強い現場を作る根底にあると言っている.多くの現場でトヨタ式の実践がなかなかうまく進まない理由が,人の心の繋がりまでに到らないことに起因するのではないかと指摘している.全く同感である.気持ちの通じない職場では良いものづくりはできないと思う(経験から).
本書の中で印象に残る記述は多い.「組織人」と「仕事人」に分けた向上心のあり方は,個々の立場でモチベーションを上げるのではあるが,仕事を通じての自己実現が目指す方向であって,職場での人間としての成長,自己実現を可能とするシステムこそが職場つくりの基礎であると説いている.昨今問題となっている,企業の偽装,隠蔽,不正会計,希薄な人間関係,3万人を越す自殺者の増加,このような問題となっている社会現象の打破を考える上でも参考になる記述が多くある.製造業に関わる人には必ず参考になる記述があるはずと考える,良書と思う.
現場の体験から生まれた本物の知恵
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実践をベースにして書かれている、というのが、説得力となってひしひしと伝わる。理論だけでなく、いろんな評価方法や取り組みなど、読者がすぐに使えそうな実例があるのがグッド。
「仕事の実力と精神性を同時に高める道が大切」と述べられていますが、それを言葉で言うだけでなく、実際に評価基準や成長プロセスなど、やはり試行錯誤した体験をベースに語るところがアツい。
仕事論の本で久々にグッと来る一冊でした。
情報洪水の中で、この一冊で決まり。ほんとうの仕事論。
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世界最大の自動車部品メーカー・デンソー工場長時代、
通常80‾85%という工場の稼働率を、93%にまであげた実績
(90%というのは、製造業の常識ではどう頑張っても越えられない
と思われていた)をもつ著者の30年にわたる改善ノウハウを、
54の図表&実践シートを使ってあますとろろなく初公開した
ものである。
通常はトヨタ式として公開されているのは、生産方式。
その他の独自のノウハウは、トヨタ精神としてその哲学は紹介
されているが、具体的ノウハウはマル秘・非公開である。
しかし、本書は、トヨタ精神の神髄、それをブレイクダウンして
どう日々の仕事に適用し実践するか。具体的に教えてくれるのであ
る。その点、評論家でなく、徹底的に現場を知り尽くした人の「凄
み」が本書にはある。
成果(工場の生産性向上)と成長(従業員の創造性の向上)の両
輪を回すことが、発展の永続性に繋がる。この二つのベクトルを融
合する方法が、抽象論でなく図表等使って徹頭徹尾具体論で語られ
ている。これには全ての仕事の発展に通ずる普遍性がある。
そして本書を貫くもうひとつのテーマがチーム力最大化の技術で
ある。組織人を嫌い、個人の才覚で成功しようとする現在の風潮で
はあるが、仲間と共に、智慧を出し汗を流し、仲間と共に成果と喜
びを分かちあってきた著者の心は、めっぽうあったかいのだ。
なぜか、本書は全編を通じて、さわやかな風が吹き抜けていた。
不思議な感覚である。あるトヨタマンの言葉にその答えを見た。
「あえて上り坂を選び、仲間と共に汗と土にまみれて登り続け、
時が来たら後を託して去る、、これがトヨタ的な考え方です。」
いろんな刺激、情報の洪水の中で、仕事論を見失いがちな私達。
本書は、全ての人に仕事へのゆるぎない確信を提供してくれる。