タイでは郷愁が壁を這う: 旅と、ノスタルジーと、愛する女たちのこと (ブラックアジア)
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タイに惹かれ、タイを旅し、様々な女性に出会い、別れていく。そして、それが深い郷愁となって心に残る。封印しても、封印できず、想い出が漏れ出して心がタイを誘う。
タイは旅人にとっては魅惑の場所だ。囚われると逃げられない。日本に戻っても、心はタイに置き去りになる。だから、旅人は日常生活に戻るために、必死になってタイへの思いを封印しようとする。
私もそうだ。それが分かっているから封印したのに、封印できなかった。結局、心はタイに戻っていく。懐かしい思いでも鮮明に蘇る。昔聞いていた懐かしい音楽を聞いていると、若かった頃の懐かしい想い出がフラッシュバックのように蘇り、また戻りたいと切なくなる。
哀しい目をした女をたくさん知っている。名前も顔かたちも、ぼんやりとしか想い出せないが、確かにそんな女たちがいたことだけは忘れない。それは、タイの女たちだ。私の好きな女たち。熱帯の花のように派手なのに、不思議と印象は暗く、哀しい女たち。
タイのあの物憂げな重い空気と、優しい女たちに惹かれて私の人生はタイに絡み取られ、東南アジアに囚われた。
そんな切ない郷愁が、ここにあります。